なんと、クラス最強エンジンにも匹敵
マイナーチェンジしたヴィッツ
参考までに書いておくとハイブリッド用エンジンは熱効率が良い反面、馬力が低かった。プリウス用の1.8リッターで99馬力。アクアに搭載されている1.5リッターなど、38%近い熱効率を確保しているものの74馬力しかない。1.3リッターだと60馬力少々になってしまう。これだと完全に動力性能不足だ。
トヨタはハイブリッド用エンジンと同等の熱効率を保ったまま最高出力を確保したい、と考えたのだろう。結果、マイナーチェンジしたヴィッツに搭載してきたのは、プリウスの1.8リッターと同等の99馬力! 1.3リッタークラス最強のエンジンを搭載するフィット(100馬力)に匹敵するのだから素晴らしい!
新しいエンジンを搭載したヴィッツのカタログ燃費は25km/Lで、ライバルであるフィットのカタログ燃費24.4km/Lを凌いだ。トヨタのエンジンってカタログ燃費と実燃費の乖離が少ないため、フィットより5%くらい良い燃費を期待していいと思う。もちろんアイドリングストップは標準で装備される。
このくらい熱効率が良くなると、ディーゼルエンジンもいらなくなってしまうほど。いや、ハイブリッドと比べることも出来る。アクアの実用燃費を20km/L。ヴィッツ15kmとしよう。走行1万km毎の燃料コストは、それぞれ8万円と10万6千円。10万km走って26万円分のガソリン代を浮かすことが可能。
相対的にアクアの魅力度は低下か
一方、新車価格はヴィッツ『F』で145万円。ほぼ同じ装備内容のアクア『S』が186万1714円だから40万円差。10万km走ってもヴィッツとアクアの価格差をカバー出来ない。実用燃費が悪い従来型ヴィッツであれば、アクアの魅力も大きかった。大幅な燃費改造によりアクアの魅力度は下がったと思う。デザインも大きくイメージチェンジした。どうやら現在トヨタを担当しているデザイナーは「バッテン顔」好きらしく、世界規模で正面から見たら『X』に見えるようなフロントを採用している。ヨーロッパで販売される新型アイゴ(ヴィッツより一回り小さいクルマ)など、歌舞伎役者のメークのような激しいバッテンだったりして。
幸いヴィッツはアイゴのように極端じゃ無く「個性」の範囲に止めている。新しいイメージになり、むしろ好ましいと思う。燃費や価格競争力だけでなく、クルマの魅力も改善させてきた。ただ残念なことに今や軽自動車のマイナーチェンジでも追加される「追突事故防止効果の高い自動ブレーキ」は付けられない。安全装備では追いつけず。