カワサキの8耐と「Team Green」
カワサキのバイクは1978年の第一回大会から鈴鹿8耐から参戦している。黎明期には「チームカワサキ」としてワークスライダーが参戦したほか、レース用バイクのコンストラクターである「モリワキ」が、カワサキの名車「Z1」のエンジンをベースに作られたオリジナルバイク「モリワキモンスター」で活躍した。川崎重工業が1984年をもってロードレースにおける活動を凍結したため、社内有志らの努力で結成された「Team Green」が85年以降のレース活動を担う。この時代にはコーク・バリントンらの名ライダーが活躍するが、鈴鹿8耐の優勝には手が届かなかった。そして、「Team Green」の8耐における活動は1992年をもって休止。1993年からは川崎重工業のワークスチームが活動を始める。
8耐黎明期のスター、コーク・バリントンは鈴鹿50周年イベントで来日した。 【写真提供:MOBILITYLAND】
過去36回の鈴鹿8耐の歴史を振り返ると、2009年にプライベートチームの「トリックスター」が2位表彰台を獲得したものの、カワサキの優勝は結局、1993年の1回だけ。「Team Green」は21年目ぶりの勝利を狙う。
最高時速303.9km/hの速さが武器に
「Team Green」が走らせるマシン、カワサキZX-10Rは2011年にフルモデルチェンジしたマシン。レースで勝利する事を目的に作られた新設計のバイクは、昨年ワークス参戦するスーパーバイク世界選手権でトム・サイクスが見事チャンピオンを獲得した。そのマシンの国内での開発部隊を担うのが「Team Green」の面々。全日本ロードレースでもそのポテンシャルの高さは証明されつつあり、戦闘力を増している。全日本ロードレースJSB1000を主戦場にしていた「Team Green」。写真のライダーは渡辺一樹。
そして、ライダーラインナップも全日本レギュラーの柳川明、渡辺一樹に加えて、ロードレースアジア選手権を戦う藤原克昭を起用。息のあったカワサキライダー3人のラインナップはチームの大きな力になるだろう。現時点での不安材料をあげるとすれば、チームが長きに渡って耐久レースから遠ざかっていること。ここ最近の8耐を経験しているスタッフは少なく、初めての耐久レースに挑むことになるスタッフも居るが、そこはチームの結束力でカバーしていくことになるだろう。意地の見せ所で「Team Green」がどこまで粘り強さを見せる事ができるかが大きなポイントになる。この辺も興味深い。
柳川明と渡辺一樹 【写真:MOBILITYLAND】
カワサキモータースはカワサキユーザーのイベント「コーヒーブレイクミーティング」を鈴鹿8耐の中でも実施。レースを見ない若い世代にも8耐の魅力やバイクレースの楽しさを知ってもらおうという企画を行う予定だ。
【関連リンク】
鈴鹿8耐への参戦発表(Kawasaki Global Racing Information)
鈴鹿8耐 公式サイト