滞在
ランチをとる参加アーティストたち
アーティスト・イン・レジデンスは、生活つまり食事や宿泊をする場所も、作品の制作や展示をする場所と同じ敷地にあります。「展覧会オープン」という目的のもと、アーティスト全員が「それぞれの仕事をこなす」という行為のために、生活する場所もあるのです。それは泊まりがけの企業研修のようでもあり、工事現場に隣接するプレハブのようでもあります。こうすることによって作品の形は違っても、集中力も高まり、目的を達成しやすくなります。
展覧会オープン!
展覧会会場
アーティストにとって「展覧会」は最大の見せ場です。オープン前日まで、アーティストたちは作品の場所、照明の当たり方、配線など、細かな部分を「観客の立場」でチェックします。アーティスト・イン・レジデンスという場所は、アート業界の人たちが集まるB to Bの場所ですが、展覧会は不特定多数の人たちが集まるところです。
広州の日本総領事を案内するアーティスト
今回のオープニングには、広州の日本総領事にも出席いただき、中国で日本人アーティストたちを紹介するという、貴重な展覧会、交流の場となりました。
あとがき
オープニングセレモニーのようす
上記にも書きましたが、「アーティスト・イン・レジデンス」は、美術業界にいる人が美術の施設を利用する「B to B」の場です。しかし皆さんの仕事、業界に置き換えてとらえてみてください。「長期滞在しながら目的を達成する」場所、「海外の人たちを招く」ことは、「グローバル化」や「おもてなし」という言葉をつかいながらも、いまの日本ではなかなか見ることができない気がします。滞在する中で乗ったバスで、混雑していた車内の後ろのほうからバスカードがまわってきました。そのカードは、一番前に近い人が料金箱にタッチするのですが、こういう行為はいまの日本ではありえないでしょう。また今回の展示作品を見て、美術館の館長や観客は、素直に楽しんでいるようでした。私たちは国や言葉を超えてアート作品に触れることがあるでしょうか、何かしら喜びを感じることがあるでしょうか。今回滞在して、見た展覧会やつくられていく現代アートを通じて、私はいまの日本に対していろいろと気付くことが多くありました。