胃ポリープとは?
胃ポリープとは、胃内腔に突出した良性の隆起性病変です。
上皮性病変とは、消化管の粘膜上皮や皮膚の表皮のように表面を覆う上皮から発生したものです。対して、非上皮性病変とは上皮を支える血管や繊維組織、体全体を支える骨格や筋肉などから発生したものをいいます。
幸せポリープを含む胃ポリープの分類・原因・治療法
一般的な胃ポリープは、胃底腺ポリープ、過形成ポリープ、胃腺腫性ポリープ(胃腺腫)の3つに分類されます。「幸せポリープ」とよばれるものです。ピロリ感染もなく、癌化の可能性もありません。
(日本消化器病学会ホームページ ポリープ画像より引用)
胃底部から胃体部という胃の入り口付近にできやすいポリープです。周囲粘膜と比べて色調の変化はありません。数ミリ程度の半球性のポリープで、表面は滑らかです。多発することが多く、増大しても10mmを超えることはあまりありません。中年の女性に多くみられます。
胃底腺ポリープは、癌化することはありませんので、経過観察の必要もありません。ヘリコバクター・ピロリ感染との関連もないと言われています。原因はまだ明らかにされていません。
このポリープが「幸せポリープ」と呼ばれるものです。ポリープがあるといっても、癌化の可能性はなく、何かと問題視されているピロリ感染もほぼないからです。「幸せポリープ」というほどはないかもしれませんが、全く心配のないポリープです。
「腐れイチゴ」様と称されるように表面は赤く光沢があり、イチゴのような顆粒状の凹凸があります。
(日本消化器病学会ホームページ ポリープ画像より引用)
胃体部や前庭部という胃の出口付近にできやすいポリープです。内視鏡所見で「腐れイチゴ」様と称されるように表面は赤く光沢があり、イチゴのような顆粒状の凹凸があります。
出血やびらんを認めることも多く、これが原因で貧血になることもあります。ピロリ感染は76~100%と高率で、ピロリ菌の関与が疑われます。癌化の頻度は1.5~3%と報告されています。
ピロリ除菌により消退、消失することがあるので、ピロリ陽性なら、まず除菌しましょう。除菌後1年後も消失せず大きさが2cm以上ある場合や、ピロリ陰性で大きさが2cm以上ある場合などは内視鏡的切除の検討も必要です。
腺腫性ポリープ(胃腺腫):
胃体部や胃前庭部という胃の出口付近にできやすいポリープです。通常径2cm以下の褐色調または灰白色調の扁平隆起病変です。
胃腺腫は、胃の上皮性良性腫瘍として取り扱われています。胃生検組織診断基準(Group分類)では、Group3の腺腫となります。ちなみに、Group分類は1から5まであり、Group1は正常組織、Group5は癌であり、胃腺腫はちょうど真ん中です。
胃癌と同様に、ピロリ感染によって生じる慢性萎縮性胃炎から発生します。大きさが2cm以上、発赤や陥凹を伴うものなどは癌化の危険因子とされています。胃腺腫と診断された場合は、年に一度ほど内視鏡検査で経過観察を行うか、内視鏡的粘膜切除術で治療を行った方がいいでしょう。
以上のように、胃ポリープと一概に言っても、様々なポリープがあり、治療法も異なります。内視鏡検査で確認できますので、心配な方は一度検査を受けてみましょう。