市場金利の動向が金利の鍵を握る
インターネット専業銀行のキャンペーン金利も期待できず、地方銀行のインターネット支店の専用定期預金の金利も頭打ちであることに加え、個人向け国債を含む債券全般の金利も低位に甘んじています。安全確実に運用したい資金の預け入れ先は、まさに八方塞がりという状況です。2014年4月募集の個人向け国債の金利は、3年固定=0.08%、5年固定=0.15%、10年変動=0.42%となりました。3月募集と比較すると、3年固定、5年固定は0.01%、10年変動は0.02%金利が引き上げられたものの、地方銀行のネット専用定期預金の1年物のトップクラスの金利が0.4%前後ですから、とても投資妙味がある金利とは言えません。
金利が低空飛行を続けているのは、市場金利がなかなか上昇に転じないからです。長期金利こそ、3月初旬と比較すると0.04%程度上昇しましたが、短期金利は0.003%程度しか上昇していません。個人向け国債の金利は、市場金利に連動して決められる以上、市場金利が上昇しないことには投資妙味が増すことはないと言えるのです。
その市場金利、日本銀行の異次元緩和の効果が効いていることから、上昇したとしても非常に緩やかなものと言わざるを得ません。期待されている追加緩和が行われれば、反対に低下することさえありえるでしょう。個人向け国債の金利は、4月募集の金利と今後数ヵ月は大差がない状態と思われてなりません。
唯一の光明は株式市場が堅調に推移していることから、投資家がリスクオフ(回避)からリスクオンと積極的に投資を行う姿勢に変化しつつあることです。ただし、株式市場が再び調整を強いられれば、リスクオフに逆もどりして国債が買われ市場金利は低下してしまうでしょう。
個人向け社債は大量発行の反動か?
個人向け国債の金利が期待できないのであれば、少しリスクを取って個人向け社債での運用と考えたいところですが、2014年の個人向け社債の発行額は2013年と比較して激減しているのです。2014年の発行状況を振り返ってみましょう。1月は東海東京フィナンシャル・ホールディングス、発行額55億円。小田急電鉄、発行額150億円。クレディセゾン、発行額100億円。東武鉄道、発行額100億円。伊藤忠商事、発行額300億円と意外と好スタートを切りました。
しかし2月は、東海東京フィナンシャル・ホールディングス、発行額35億円のみ(募集は3月初旬まででした)。3月はイオンフィナンシャルサービス、発行額300億円、東海東京フィナンシャル・ホールディングス、発行額55億円、中国電力、発行額100億円でした。
昨年、何度も起債したマネックス債、SBI債は、2014年に入ってから1度も起債されておりません。過去3ヵ月では、毎月起債した東海東京フィナンシャル・ホールディングスが光ります。いずれも償還期限1年、金利は0.5%でしたから、地方銀行のネット専用定期を上回る好条件と言えそうですが、発行額が少ないことからいずれもすぐに完売したと思われます。
年度末、新年度早々から起債されることは少ないことから、今後に期待したいところですが、2013年の個人向け社債は近年にないほど多額の発行が行われました。もしかしたら、2014年はその反動で起債が少ないのかもしれません。
条件の良い個人向け社債は、希少性が増すことから争奪戦になる可能性が大。新規発行の情報をいち早く入手できるようにアンテナを張って置きましょう。
※2014年の起債にはサムライ債は含んでいません。