月額1000円以下は当たり前、利用料無料も登場
ついに禁断の教育費にも手を付ける、そんな時代になりつつあります
文部科学省「子供の学習費調査」における平成24年度と、その10年前の平成14年度の中学校と高校の「学習塾費の金額分布」を比較すると、平均額は平成24年度の方が高いものの、「支出0円=学習塾に通わない」世帯の割合は増加(下表参照)。「家庭教師費」でも同様の傾向が見られます。もちろん、学習塾や家庭教師を利用しない理由、背景はさまざまですが、そのひとつに「家計負担軽減のため」があることは否定できません。
そんな中、最近注目を集めているのが、格安のオンライン学習サービスです。パソコンやスマートフォンを利用して自宅学習をサポートをするもので、過去の大学入試問題をダウンロードできたり、提携する予備校の有名講師の講義が動画配信されます。主に大学受験用が主流ですが、中高生向けも出始めています(下表参照)。
こういったオンライン学習のメリットは、通塾しなくていい、自分の都合のいい時間に学習できる、何度でも見直しができる、などですが、最大の魅力は何と言っても、その料金設定。多くが月1000円以下で入会金なし。子どもが自分のおこづかいで十分利用できます。
中でも注目は、利用無料の『manavee』でしょう。東大、京大、慶応、早稲田など全国の現役大学生がボランティアで講師を務め、大学受験用の講義を動画で配信。非営利団体のため、個人や企業の寄付で運営されています。2010年からスタートし、現在は配信動画数7000本、月間ページビューは60万。高校生を中心に月間5万人が視聴しているとのこと。
集中できる環境と自主性が必要
先に紹介した、格安のオンライン学習サービスほど低料金ではないものの、一般の通塾タイプにより近い内容をオンラインで提供する学習塾も増えています。そのひとつ、『e点ネット塾』では、中学生コースの場合、月額4000円に入会金2万円(ただし、キャンペーン期間中は入会金無料などの特典あり)で中1~中3までの主要5教科、1000を越すタイトルの講義が24時間見放題。講義に合わせた教材も用意され、実力テストの実施やメールやFAXなどで質問も受け付けるなど、より細かいフォローが特徴となっています。さて、コスト面のメリットが大きいオンライン学習サービスですが、誰もがを効果的に活用できるというわけではありません。対面式による学習塾は、決められた時間に教室まで通うという手間が掛かりますが、結果的にそれが勉強に集中するための環境づくりにもなっています。また、講師との対話や直接の励まし、同じ目的を持つ仲間の存在は、勉強へのモチベーションにつながるもの。それらがなくても、自宅で計画的に勉強できるだけの、集中力や自主性が求められます。
加えて、とくに大学受験用のサービスは、学校の授業にもついていける、受験勉強もある程度自分で進められる、といった一定レベルの学力がないと、有効に活用できないケースが多々あるようです。
学校の勉強や受験に対してどういう形でサポートするのが効果的なのか。子どもとも話し合いながら、よりコストパォーマンスが高い方法を選んでいくことが、増税時代の教育費対策と言えるでしょう。