ギリシャは不安を抱えている
攻守ともに懸念材料が多いギリシャ。
ワールドカップ欧州予選全12試合に出場したゴールキーパーのオレスティス・カルネジス(27歳)が、所属するグラナダ(スペイン)で定位置をつかめていないのだ。ギリシャ代表での活動を除くと、2013-14シーズンはたった3試合しかゲームに出ていない。
3月5日に行なわれた韓国とのテストマッチにも、この28歳の守護神は招集されなかった。決して調子の良くない韓国に0対2と敗れた一戦は、カルネジスの不在を強く印象づけるものでもあった。
ディフェンスラインにも不安の種がある。センターバックのレギュラー格であるディミトリス・シオバス(25歳)が、ここ2か月ほどをサイドラインの外側で過ごしている。ケガの影響だ。ひとまず戦列に復帰した現在も、所属するオリンピアコス(ギリシャ)のスタメンに復帰していない。
もっとも、ゴールキーパーとセンターバックには、同レベルの代役を見つけることができる。より深刻なのはアタッカー陣だ。サントス監督が頼りにしてきた中軸が、所属クラブで苦しんでいるのだ。
ひとり目はコンスタンティノス・ミトログル(26歳)だ。ワールドカップ欧州予選で得点源となったこのストライカーは、昨年12月からヒザのケガを繰り返している。冬の移籍マーケットで加入したフルアム(イングランド)では、わずか2試合の出場に止まっているのだ。
公式戦で最後に得点をマークしたのは、昨年11月のワールドカップ欧州予選プレーオフまでさかのぼらなければならない。チームの得点源が、かくも長い沈黙を強いられているのだ。サントス監督が穏やかでいられるはずもないだろう。
ふたり目はゲオルギオス・サマラス(29歳)だ。スコットランドの名門セルティックで、自らの居場所を見つけられずにいる。リーグ戦の出場数は半分弱にとどまり、公式戦のゴールは昨年12月が最後となっている。
キャプテンのゲオルギオス・カラグニス(37歳)も、難しいシーズンを過ごしている。シーズンを通じた稼働が厳しい年齢になっているとはいえ、在籍2シーズン目のフルアム(イングランド)ではベンチで過ごす時間が圧倒的に長い。
ワールドカップではスーパーサブ的な仕事も予想されるカラグニスだが、それにしてもゲームには絡んでおきたいはずだ。リーグ戦という“日常”で得点もアシストもないままシーズンを終えたら、ワールドカップのパフォーマンスに悪影響が及んでもおかしくない。
守備に安定をもたらすカルネジスとシオバスに加え、速攻を成立させるサマラスとミトログルがコンディション不良に陥る──ギリシャにとっては最悪のシナリオだ。シーズン終盤へ突入しつつある各国リーグで、彼らはどれぐらい出場機会を増やせるのか。それとも、現状を打破できないままブラジルヘ向かうのか。
ギリシャは不安と背中合わせにある。
絶対的ストライカーを失うも、若手が躍進するコロンビア
コロンビアが4大会ぶりのワールドカップ出場を勝ち取ったのは、主砲ラダメル・ファルカオ(28歳・ASモナコ/フランス)の活躍が原動力だった。南米予選でチーム最多の9ゴールを記録した彼は、来るワールドカップでも得点王の候補にあげられていた。絶対的なストライカーとして君臨してきたフォルカオは、1月に左膝に重傷を負った。コロンビアのブラジルW杯に暗雲が漂った、と誰もが考えた。
状況は、それほど単純ではなかった。コロンビアは、ファルカオだけのチームではなかったのだ。
彼の影に隠れていたストライカーたちが、激しいアピール合戦を繰り広げている。
ジャクソン・マルティネス(27歳)、アドリアン・ラモス(28歳)、カルロス・バッカ(27歳)の3人が、所属クラブでゴールを量産しているのだ。マルティネスはポルトガル(FCポルト)で、ラモスはドイツ・ブンデスリーガ(ヘルタ・ベルリン)で、バッカはリーガ・エスパニョーラ(セビージャ)で、すでに2ケタ得点をマークしている。守備にも献身的なラモスは、強豪ドルトムントへの移籍が噂されているほどだ。
好調なのはストライカーだけではない。
ブラジルW杯のスター候補生でもあるハメス・ロドリゲス(22歳)は、ASモナコ(フランス)で得点とアシストを量産している。右サイドから攻撃を仕掛けるファン・ギジェルモ・クアドラード(25歳)は、所属するナポリ(イタリア)でも同じ役割を担い、ピッチ上で躍動している。
攻撃陣にも守備陣にも、クラブでポジションを失っている選手はいない。チームを束ねるホセ・ペケルマン監督は、ファルカオを失った痛みからすでに解放されていることだろう。
ファルカオがいなくても、コロンビアを侮ることはできない。