故障者リストで開幕を迎える可能性も
監督を始めとする首脳陣も、ダルビッシュの焦っての復帰は望んでいないようだ。
首の痛みは寝違えが原因で、キャンプ地のアリゾナ州サプライズから本拠地テキサス州アーリントンに戻り、MRI検査を受ける。昨季のキャンプでも同じような症状を起こしたが、開幕は間に合った。また、シーズン中にも右肩後ろの筋肉の張りのため、登板を1度回避している。
ダルビッシュは24日(同25日)の全体練習には参加せず、軽めのキャッチボールを約10分行ったが、「(普通に投げるのは)まだちょっと無理ですね。完璧にはほど遠いです」と説明。首回りに気を使って投げているのは明らかで、「ぎりぎりまで(出られるように)したいと思っていたけど、(チームに)迷惑をかけたくない。すぐに良くなることはないと思った」と話した。
ダニエルズGMは「開幕戦で投げなくても、この世の終わりではない」と開幕戦を特別視はしていないが、エースの首痛による長期離脱を避けるために、「故障者リストで開幕を迎える可能性も否定しない」と語った。
ダルビッシュはメジャー3年目で初の開幕投手に指名された。日本人投手としては史上4人目、通算6度目の快挙だった。開幕投手といえば、「ウチはこの投手を中心に今年は回す」というチームの宣言であることは間違いない。それだけ名誉なことではあるが、一方で162試合分の1試合という考え方もある。いずれにしてもダルビッシュは気持ちを後者の方に切り替えざるを得なくなった。
悪い時には悪いことが重なるものだ。ダルビッシュの女房役であるジョバンニ・ソト捕手がヒザ痛のために開幕絶望となった。昨季16試合で控えのソトとバッテリーを組み、防御率は2.87をマーク。他の捕手と組んだ際の防御率は3.76だったことと比べると抜群の相性を見せた。そのため、正捕手となった今季は、ワシントン監督もダルビッシュは必ずソトと組ませると明言していた。復帰には10週間から12週間はかかる見通しで、ダルビッシュが復活した後もしばらくは専属捕手を欠いた戦いが続きそうだ。
「体も心も良い状態になってほしい。不安を抱えて投げてほしくない」とワシントン監督は、ダルビッシュの焦っての復帰を望まない。復帰プランは、ダニエルズGMが「メジャーの試合に投げる前にちゃんと投げられる姿を確認したい」と言うように、マイナーなどでの調整登板を挟んでのものになりそうだ。
開幕からのスタートダッシュは難しくなったが、注目はスタートでのつまずきをいかに挽回するかにかかるダルビッシュである。