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消費増税目前! 大増税時代の住まいのあり方について(2ページ目)

消費税の税率アップが目前に迫っています。また、今後さらなる増税が予想されます。その中で家計の健全性を保つため、住まいについてどのような検討ができるのでしょうか。今回は太陽光発電システムの設置、賃貸併用住宅、二世帯住宅を選択肢としてあげ、その利点と課題について考えていきます。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

来年1月に迫る相続税の改正のポイントは「基礎控除額の引き下げ」と、「最高税率が引き上げ」の2点。これは相続税の納税者が増え、さらに納税額も増加するということを意味します。前者はこれまで相続税の対象にならなかった人が対象になるということで、もしかしたらあなたがその対象になるかもしれないということです。

二世帯での居住も相続税対策の有力な手段!

特に「基礎控除額の引き下げ」は、これまで相続税の対象が大都市の中心部に限られていたものが、地方の中心部にも広がる可能性があるということ。ですから、立地の良い場所にある自宅の建て替えを検討するなら、一定収益の確保と相続評価の減額が見込まれる賃貸併用住宅は有力な選択肢になりそうです。

賃貸

賃貸(1K)の様子。賃貸経営はまさに「事業」。部屋をどのような間取りにするか、家賃設定をどうするかなど、高度な経営ノウハウが求められる(クリックすると拡大します)

ところで、「二世帯住宅」が相続税対策になるというと、ちょっと不思議に思われるかもしれません。対策になるのは、相続税の制度では土地の評価額が被相続人と同居(つまり二世帯にする)と、最大8割も低減されるからです。また「小規模宅地等の特例」という制度もあり、一定の面積まで評価額を最大8割減額することも可能です。

小規模宅地等の特例の適用にはケースに応じて様々な要件があるため注意が必要。ですので専門家にしっかりと確認するべきですが、いずれにせよ二世帯住宅の建設にも何となく有利な特典があるということをお分かりいただければいいと思います。

二世帯住宅には節税以外にも生活コスト低減の様々なメリットがあります。一つは、二世帯で暮らすわけですから、二つの世帯で別々に暮らすより一緒に暮らす方が光熱費や食費を少なくしやすくなります。

そういえば最近の二世帯居住では、子世帯の共働きが多い傾向があります。これは家事や子(孫)育てなどについて親世帯に協力を求めやすいため、ダブルインカム(インカムは「収入」という意味)を実現しやすい居住形態であることからだと考えられます。

ですから、二世帯住宅は世帯年収を増やしやすいということ、さらには家事や子育ての負担を軽減できるという精神的・肉体的負担を軽減しやすい住宅ともいえそうです。二世帯住宅にはこのようなメリットもあるのです。

二世帯&賃貸併用住宅には高度なノウハウが必要

さて、ここまで二世帯住宅を含む三つの住宅スタイルを、大増税時代の住まいのあり方として紹介してきました。メリットを中心に紹介しましたが、では課題はないのでしょうか。大きな課題としては、いずれもイニシャルコスト(初期費用)が大きくなる傾向にあることを指摘できそうです。

5階建て

パナホームの5階建てのモデルハウス(渋谷展示場)。二世帯+賃貸+店舗という多機能な住宅提案の事例だ。もちろん屋根には太陽光発電システムも搭載されている(クリックすると拡大します)

特に賃貸併用住宅と二世帯住宅はその傾向が強くなります。それは建物自体が大きくなりがちだから。もちろん金融機関から借り入れをして対応することになるわけですが、家賃収入や世帯収入、さらには相続評価のバランスを考慮に入れながら建築計画を進めなければなりません。

中でも賃貸住宅経営は「事業」ですから、ことさら注意が必要となります。賃貸併用住宅は建設業者なら建設自体はできますが、では入居者の募集や管理については不得意という業者もあります。賃貸併用住宅は、同じ屋根の下にオーナーと入居者が暮らすわけですからトラブルも発生しやすいのです。

また、これは賃貸住宅系の建設会社によくいえることなのですが、オーナーの居住スペースに対する提案力が弱いこともありがちです。賃貸住宅の分野には様々な業者が参入していますから、得意不得意が必ずあります。事業性を見極めて依頼先を選ぶことが非常に重要になります。

二世帯住宅であれ、どのような居住提案を行うかについても高いノウハウが求められます。同居するといっても二世帯間の関係が必ずしも良好とは限りません。例えば、光熱費や生活費を同じ家計で支払いコストを下げることは、仲の良い二世帯居住でないとありえないことではないでしょうか。

二世帯、賃貸併用とも高い専門性と知識が求められますから、税理士などの専門家はもちろん、ハウスメーカーのスタッフなどに相談することが必須になります。近年は二世帯+賃貸併用の提案も増えていますが、そうなるとなおさら慎重な検討が求められます。


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