好調さを印象づける攻撃陣
日本がW杯の初戦で激突するコートジボワールで主力と目される選手たちは、所属クラブで出場機会を得ているのか?
アタッカー陣の好調ぶりは、ラムシ監督を安堵させていることだろう。
4-2-3-1の布陣で1トップを務めるディディエ・ドログバ(36歳)は、ガラタサライ(トルコ)で23試合に出場して10ゴールをマークしている(注:データは3月25日現在)。3月5日に行なわれたベルギーとのテストマッチでも、後半から出場して得点を決めた。
少しぐらい精度を欠いたパスでも、ドログバはしっかりと自分の支配下に置くことができる。年齢的にはキャリアのピークを過ぎたものの、ピッチ上の存在感はいまだ圧倒的だ。
バックアッパーも充実している。イングランド・プレミアリーグのスウォンジーに在籍するウィルフリード・ボニー(25歳)は、チームの公式戦42試合に出場して20ゴールを叩き出している。そのうち7ゴールがヘディングシュートだ。182センチの高さを、相手ゴール前で存分に見せつけている。
ドログバ、ボニーに続くのは、ラシナ・トラオレ(23歳)だろう。今冬の移籍市場でエバートン(イングランド)に加入した彼は、203センチ(!)の長身を誇る。高さを活用するパワープレーには、うってつけの人材だ。日本がリードして終盤を迎えたとしても、決して気持ちを緩めることはできない。
攻撃のオプションには、高さや強さだけでなく「速さ」もある。セイドゥ・ドゥンビア(26歳)である。
かつて本田圭佑(ACミラン/イタリア)がプレーしたCSKAモスクワ(ロシア)の点取り屋で、3月に再開されたロシアリーグで得点ランキングの首位に立っている。昨シーズンは度重なるケガに悩まされたが、ワールドカップイヤーを迎えてトップフォームを取り戻してきた。加速力豊かなスピードは、相手守備陣の脅威となる。ボニやトラオレとは違った意味で、ゲーム終盤の効果的なカードだ。
2列目の充実度は日本の脅威に
4-2-3-1の「3」の3人は、所属クラブで素晴らしいシーズンを過ごしている。右サイドを担うジェルビーニョ(26歳)は、イタリア・セリエAのASローマでレギュラーをつかんでいる。ゴール奪取と決定機の演出のいずれにも秀でるのは、ここまで6得点9アシストというリーグ戦の成績が裏づける。
左サイドのサロモン・カルー(28歳)は、フェイエノールト(オランダ)とチェルシー(イングランド)で活躍してきた実力者だ。在籍2シーズン目となるフランス・リーグアンのリールで、ここまで10ゴールを記録している。ジェルビーニョと同じように、彼もチャンスメイクとゴールゲットで貢献できるサイドアタッカーだ。
トップ下のヤヤ・トゥーレ(30歳)は、イングランドの強豪マンチェスター・シティで中核を担う。攻撃力、守備力、身体能力を兼備し、ドログバと並ぶコートジボワールの大黒柱だ。
3月22日のリーグ戦でハットトリックを達成するなど、今シーズンのヤヤ・トゥーレはキャリア初のリーグ戦2ケタ得点をマークしている。ゴール数は16を数え、20点台へのせるのも確実だ。所属クラブでの好調さをそのままW杯へ持ち込んだら、相当に厄介な存在となるだろう。
それぞれに事情を抱える守備陣
ヨーロッパ各国で存在感を放つアタッカー陣と同じように、ディフェンス陣も所属先でコンスタントにピッチに立っている。ただし、ブラジルW杯へ向けた準備において、ラムシ監督は一抹の不安を感じているかもしれない。右サイドバックのセルジュ・オーリエ(21歳)は、所属するトゥールーズで右サイドのミッドフィールダーやCBで起用されている。左サイドバックのアルトゥール・ボカ(30歳)も、シュツットガルトでは左サイドのミッドフィールダーやセントラルミッドフィールダーでの出場が少なくない。
最終ラインを統率するセンターバックのディディエ・ゾコラ(33歳)も、トラブゾンスポル(トルコ)ではセントラルミッドフィールダーが定位置だ。ゲームには継続的に絡んでいるものの、3人とも代表チームとはポジションが異なるのだ。
ゾコラとセンターバックのコンビを組むスレイマヌ・バンバ(29歳)は、昨年12月を最後にリーグ戦の出場がない。1月末からケガで戦列を離れており、復帰まであと1か月を要する見込みだ。彼がブラジルW杯をベストコンディションで迎えられないことがあれば、コートジボワールの守備陣は大きな不安を抱えることになる。
バンバが欠場した前述のベルギー戦では、コロ・トゥーレ(33歳)がセンターバックで起用された。経験と実績を兼ね備えた彼も、所属するリバプール(イングランド)で先発から外れることがある。また、ゴールキーパーのブバカール・バリー(34歳)も、2月後半からロケレン(ベルギー)でベンチにも入らないことがある。
攻撃陣が眩いほどの輝きを放つ一方で、守備陣は不確定要素を内包する。3大会目で初のグループステージ突破を目ざすコートジボワールも、決して盤石ではないのである。