陰湿な関係の長期化は株式市場や世界経済にとってマイナス
ウクライナ情勢に中国経済失速懸念。米国株はこの難局を乗り切ることが出来るのか!?
しかし決定的な武力衝突が避けられる一方で、ロシア対西側という冷戦の構図が長期化しそうな様相であり、お互いが歩み寄って昨年までの関係に戻るような素振りは全く見られません。陰湿な関係の長期化は株式市場(特に投資家心理面)や世界経済にとってマイナスです。
一方で中国経済の失速懸念についても、はっきりとした出口が見えません。3月13日に発表された中国1-2月の小売売上高や鉱工業生産は相当悪いものであり、発表と同時に日経平均をも直撃しました。中国景気は軟調な状態が続いてきましたが、ここに来て一段と悪化している様子です。特に2月の輸出は大きく悪化しており(前年同期比18.1%減)で、ほぼ1年ぶりに貿易赤字を記録しました。物価指数も軟調さをより鮮明にしています。
米国株にも異変が!?スター株だったバイオ株が急落!?
このような問題がある中で、米国株は比較的堅調な株価推移を保っています。しかし、ここにきて気になる動きも出てきています。それは、これまでネット株と並んでナスダック総合指数の上昇を牽引してきたバイオ医薬株の急落です。ギリアド・サイエンシズ(GILD)の次の超大型薬として期待されるC型肝炎新薬の価格について、米国議会より値段が高すぎるとして説明を求める声が上がったのです。これによってギリアド・サイエンシズは3月21日(金)に▼4.57%下落したほか、他の高価なバイオ医薬製品を持つバイオ企業の株価も一斉に急落しました。セルジーン(CELG)の上昇トレンドは三尊天井のような形で崩れかけており、バイオジェン(BIIB)、アレクシオン・ファーマ(ALXN)も同日にそれぞれ▼8.22%、▼7.99%も下がりました。これらのバイオ医薬企業は近年数百~数千億円の買収や研究開発費用をかけて、非常に効果的な夢の治療薬を世に出してきました。しかし患者(と保険会社)はその薬を服用するに年間1000万円近く、中には数千万円もの費用を投じる必要あり、そこに政治が噛みついた形です。例えば前述のギリアド・サイエンシズのC型肝炎薬を服用するためには年間に850万円以上もかかります。しかし、それまで数千万円かけて肝移植するしかなかったような病気がこの飲み薬だけで治る可能性も高く、この利益率の非常に高い薬が一気に世界へ広まることでギリアド社の利益は大幅に伸びると見られていました。バイオ医薬株の上昇はここ数年の米国株の上昇を象徴するものであり、異変が起きている点には注意を要すると思います。
参考:グローバルグロースレポート
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