安全な範囲で何でも食べられる体をつくっておく
犬も加齢すると食の好みが変わってくることがある
シニア期に入ると低カロリー、かつ良質の動物性タンパク質を与えることが推奨されます。加齢するごとに消化や栄養吸収能力が低下し、当然タンパク質の合成能力も低下します。筋肉をつくるにはアミノ酸が必要であり、よって衰えがちな筋肉をつくるにはタンパク質が必要であるというわけです。タンパク質不足は筋肉の衰えばかりでなく、免疫力の低下や貧血とも関係すると言われますので、消化しやすい肉や魚を与えてあげたいものです。
魚と言えば、特に青魚には脳細胞を活性化させたり、血液をサラサラにして動脈硬化の予防作用もあるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれており、認知症の予防や改善も期待できますので、シニア期には積極的に摂り入れたいものの1つ。調理するのが面倒ということでしたら、サーモンオイルを代用するのもいいでしょう。
ガイドが愛犬によく与えていたのはヨーグルトです。シニア犬ともなると腸内の善玉菌も減り、お腹が安定せず、下痢や便秘になることもよくあります。乳酸菌やビフィズス菌は腸内に定着しづらいことから、毎日でも与えたいくらいです。
その他、サプリメントでは関節の軟骨成分生成や弾力性を高める効果のあるグルコサミンやコンドロイチン、抗酸化作用があるビタミンEやコエンザイムQ10などを与えるのもいいでしょう。ちなみに、野菜や果物で抗酸化作用があるものとして代表的なのはリンゴ。ニンジンやカボチャ、ほうれん草、ブロッコリーなどにも同様の作用がありますので、おやつとして与えたり、食事に混ぜてあげるのもいいですね。
ゲームやマッサージで脳や体を刺激
犬の五感のうち、最後まで残るのが嗅覚だと言われています。アロマが広く一般に使われているように、匂いを嗅ぐということは脳細胞を刺激し、活性化する効果があります。あまり運動しなくなったコでも、おやつを片方の手の中に隠して「どっちにあるかな?」ゲームとか、おやつやオモチャをどこかに隠して「宝物探しゲーム」などを遊びに取り入れてあげるのも一つのアンチエイジング。自然と体も動かしますし、一石二鳥です。また、犬は四足の動物であることから、体重の7割を前半身で、3割を後半身で支えています。どうしても後ろ脚から弱る傾向にあるため、後ろ脚を軽くマッサージしてから散歩に出かけるとか、後ろ脚を多少意識させるようにしてあげるといいでしょう。脚だけではなく、マッサージは血行をよくしたり、体に気づきを与えることにもなりますので、日々のケアの一つとしてお勧めです。
動物病院と上手につきあう
若い時でも1年に1回は動物病院で健康診断を受けることが推奨されていますが、シニア犬の場合は少なくとも半年に1回は検診を受けたいところです。老化には自然に体の生理機能が低下していくものと、病気が関係する老化とがあります。病気や異常も早めに気づいてあげることができれば、それだけ老化も少しは遅らせることができるということ。特に、シニア犬での死因トップ3はガン、心臓病、腎臓病の3つ。早期発見、早期治療につとめましょう。なお、近年ではオゾン療法というものも注目されています。オゾンガスを体内に注入するというものですが、細胞の活性化や免疫力のアップなどの効果があり、シニア犬に用いた場合には病気治療効果の他、活力が出たり、アンチエイジング効果もあるとされています。現在、オゾン療法ができる獣医師は全国で100名以上いるということですが、アンチエイジングを積極的に考える時、一つの選択肢として考えてみるのもいいかもしれません。
犬の一生は人間よりずっと短く、それが犬の唯一の欠点だという言葉もあります。だからこそ、少しでも穏やかで健やかな犬生を送らせてあげたいと考えるのは、ガイドだけではないでしょう。みなさんの愛犬が、ずっと元気で健やかに過ごせますようにと願います。