鉄道/鉄道デビュー・開業情報

蓄電池駆動電車アキュム、JR烏山線でデビュー

電車は、架線や第3軌条といった電力を供給する施設がある電化区間以外では走れない、というのが「常識」であった。架線の張られていない非電化区間は、もっぱらディーゼル車両が活躍しているが、蓄電池を電力に使うことによって電車を乗り入れさせるために新たに登場したのが、新型車両アキュムである。どんな車両なのか、さっそく試乗してみたのでレポートしてみよう。

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

アキュムとは?

アキュム

アキュム、颯爽と宇都宮駅に到着


サイドビュー

アキュムのサイドビュー。床下の緑色が蓄電池

新型車両EV-E301系は愛称が「アキュム(ACCUM)」。accumulator(蓄電池)を略して創った言葉である。2両編成で、車内は通勤型同様のオールロングシート。終点まで乗っても1時間もかからないのでトイレはない。

アキュムは、3月15日から宇都宮から烏山線に直通する列車を中心に使われる。宇都宮駅から宝積寺駅までは東北本線(通称「宇都宮線」)を走行。この区間は電化されているので、アキュムは普通の電車と何ら変わることなく、パンタグラフを上げて架線から電気を取り入れながら走行する。もっとも、この間、架線から取り入れられた電気はアキュムにある蓄電池の充電にも使われる。
パンタ上げ

電化区間ではパンタグラフを上げて走行


電化区間の車内モニター

電化区間を走行中の車内モニター

宝積寺駅から烏山駅までの烏山線は単線の非電化区間。今まではディーゼルカーの天下だった。アキュムは、パンタグラフを下ろし、蓄電池に蓄えられた電力を使って走行する。烏山線は単線で列車のすれ違いのできる駅が大金駅のみ。昼間は、すべての列車が大金駅ですれ違う。昼間に臨時列車を走らせる余裕はないので、残念ながら試乗したアキュムは、宝積寺駅で宇都宮へ折り返す。

パンタ下げ

パンタグラフを下ろした状態のアキュム

蓄電池使用中のモニター画面

蓄電池使用中のモニター画面

ただし、復路は、パンタグラフを下ろして、アキュムの特徴である蓄電池の電力での走行を体験できた。車内にいるかぎりでは、乗り心地に違いがあるとは思えない。普通の電車同様の快適な旅を体験した。ディーゼルカー特有の重々しい感じは皆無なので、烏山線の旅は今までとは違ったものとなるだろう。

 
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