バイクに詳しくない人も思わず振り返る
強烈なデザイン VT1300CR
ホンダの現行のカタログを見てみると、とても異質な車両が3台あります。VT1300CR、VT1300CS、VT1300CXの3台です。この3台はメーカーの車両でありながら、カスタム車両の雰囲気が漂います。今回はこの3台の中でも、レトロクルーザーというカテゴリに分類されているVT1300CRに試乗しました。分類的には小回りが効くバイクではなく、長距離を走行する為のクルーザーバイクですが、一週間きっちり通勤で使って試乗レポートをお届けします。
ファーストインプレッションは「乗りこなせないかも……。」
今回試乗したVT1300CRはホンダの広報車をお借りしました。車両は青山のホンダウエルカムプラザ青山で受け取りました。地下駐車場で車両を受け取り、走り出してみると……乗りこなせないかも。という印象を持ちました。私は身長が低く、手足も短い方なのですが、ハンドルが遠く、ステップの位置も前の方にある為、手足が伸びきってしまい、とにかく操舵がしずらかったのです。シート高は低い為、足つきはとても良く、またがって取りまわしすれば、315kgという車両重量でも苦労することはあまりないのですが、身長が低い人にとっては、操舵に苦労するかもしれません。
また、メインパイプとダウンチューブに緩やかなカーブをつけ、ロング・ロースタイルを強調したグースネックフレームは、ホイールベースを極端に長くしています。フロントタイヤに17インチの極太タイヤを採用したVT1300CRは、路面の段差などを細かく拾ってしまい、全てをライダーに伝えてしまいます。
乗り続けることで感じるマシンとの一体感
初めは、曲がるシチュエーションが発生するたびに、ストレスを感じてしまっていたのですが、乗り続けていると、徐々に乗り方を覚えていきます。乗り方といっても、難しいものではなく、マシンの特性を理解したうえで、少しだけ乗り方を変えてあげればいいだけです。バイクが曲がるときは、コーナー進入の手前でしっかりと減速し、パーシャルで旋回に入り、立ち上がりでアクセルを開けて車体を起こしていく。という形になりますが、ネイキッドやレーシングレプリカに乗っていると、突っ込み気味にコーナーに侵入しがちになります。
これらの車種の場合ちょっとリアブレーキをかけて調整したりすることが可能ですが、ホイールベースが極端に長いアメリカンタイプの車両の場合、しっかりと減速せずにコーナーに差し掛かってしまうと、体勢を立て直すのが困難になってしまったり、ラインが膨らんでいってしまいます。
バイクの乗り方の基本的なことなのですが、基本を忠実に守り、いつもより少し減速してコーナーに差し掛かることで、理想のラインで曲がっていくことが出来ます。この時のハンドリングは大きな癖はありません。また、私のように背が小さく、手足が短い人は、コーナー手前で少しシートの前側に座ったほうがハンドルが切りやすくなります。
様々な車両を乗り継いでいる人やバイク業界の人にとっては、経験から乗り方をスムーズに変えることが出来ると思いますが、「ちょっと乗りづらいな」と感じてしまった場合は上記のように少し乗り方を変えるだけで格段に快適な乗り物になりますので、参考にしてみてください。