旅に出たい気分にさせるトランクのようなブリーフケース
旅に出られるくらい大きな革の鞄には、不思議と魅力を感じます。実際に使うとなると、旅行ならキャリーバッグがあるし、ビジネスでは、もはや大きな鞄の出番は少なく、使いどころが難しいのですが、それでも、もし十分に軽い、けれど大きな革鞄があれば、持っていたいし、使いたいと思います。トライオンの「TRUNK01R」を見た時に、その、形こそブリーフケース的なデザインながら、名前通り、トランクのようなマチ幅の広さに感動してしまいました。サイズは、何とW430mm×H300mm×D140mm。今どき、14センチのマチというのは、ブリーフケースのジャンルに収まるサイズではありません。しかも、全体に馬革を使っているため、約1560gと、総革製でこのサイズの割に軽いのです。実際、持ってみると、その軽さと革の質感の高さとのギャップに結構驚きます。この馬革は、アメリカを代表するタンナーの一つ、Horween社のもの。ご存知のように、元々、野球のグローブを作っているトライオン社が、高級グローブの内装に使われている馬革を鞄の素材として作ったのが、この「TRUNK」シリーズ。馬革の柔らかさは、革鞄にありがちのゴツイ感じがなく、角を丸く仕上げたデザインと共に、鞄を必要以上に大きく見せず、気軽に持ち出せるムードになっています。
このマチ幅が、どれくらい大きいかというと、この鞄は、中で二つに仕切られているのですが、その仕切られている片方に、レンズを付けたミラーレス一眼がクッションに包んだ状態で楽に収納出来ます。実際にそういう使い方をするかどうかはともかく、A4用紙600枚程度を綴じたファイルフォルダーを2個、収納して持ち運ぶ事が出来る大きさなのです。ところが、持ってみると、それほど大きな鞄を抱えているようには見えないあたり、デザインと縫製技術の賜物ですね。
複数の鞄を同時に持っているような使用感
実用的な面でも、この「TRUNK01R」は、なかなか良く出来ています。前述したように、メインコンパートメントは二つに分かれていて、そのメインコンパートメント自体も、真ん中から二つにキレイに開く構造なので、二つに分かれたそれぞれを、完全に独立したパートとして利用出来ます。片側は着替類、片側は土産物や髭剃りなどのメンテナンス用品と分けて入れて、ビジネスに使うノートや筆記具類は、メインコンパートメントの前後に用意されたあおりポケットに収納。さらに、IT系コモノや、文庫本などは前面の大きな二つのポケットに、といった感じに、完全に分けて収納出来るのです。これで、出張にも持っていけます。サイズ的に二泊三日は余裕です。二つの前面ポケット、二つのあおりポケット、二つに仕切られたメインコンパートメント、背面ポケットと鞄全体が大きく四つ、細かく分ければ七つのパーツに分かれていて、それぞれのパーツがそれなりの容量があるので、一つの鞄だけど複数の鞄を持ち歩いているのと同じように、使い分ける事が出来ます。革が柔らかいので、どのパーツにも手を突っ込めば楽にアクセス出来るので、目的のモノの出し入れが本当にスムーズ。旅行鞄兼仕事鞄として、用途に応じてフレキシブルに応えてくれます。特に、トライオンの得意技とも言えるあおりポケットは、片方がオーガナイザー風にペン挿しやマチ付き、ファスナー付きのポケットがあり、もう片方はキーリングが二つ装備されているという用意周到さ。
ハンドルは牛革(ヌメ革)を使った大振りのモノで、これが持ちやすいだけでなく、腕が通るので、咄嗟の際に両手を空ける事が出来るのも気に入っています。ハンドルも含め、全体に固い部分がとても少ないのも、この鞄の特長。そのおかげで、鞄を手に持っていても、付属のショルダーストラップを使って肩からさげていても、とても歩きやすいのです。膝とかにぶつけて痛い思いをする事もありません。この、持って歩ける大きな鞄というのが、嬉しいのです。便利な事は分かっていても、キャリーバッグを転がすのが、あまり好きではないのです。
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