月を追うごとに個人向け国債の金利は低下
固定5年、変動10年が毎月発行に変わってから、2014年3月の募集で3ヵ月が経過しました。毎月募集(発行)により利便性は高まりましたが、私たちが期待する金利は反対に低下という状況が続いています。固定5年は、2014年1月募集=0.17%、2月募集=0.15%、3月募集=0.14%です。
変動10年は、2014年1月募集=0.48%、2月募集=0.40%、3月募集=0.40%で
す。
固定3年は、2014年1月募集=0.09%、2月募集=0.08%、3月募集=0.07%です。
ご覧のように、固定5年、固定3年は月を追うごとに金利は低下。変動10年は意外にも2月募集、3月募集の金利は同じでした。財務省のHPで公表している金利情報によれば、2月募集の個人向け国債の金利が決まった頃と比較すると3月募集の金利が決まった日の方がやや市場金利は低下しているからです。同一ということは誤差の範囲ということなのでしょうが、やや腑に落ちない気がしないでもありません。
新窓販国債は応募者利回りで判断
一般的には「個人向け国債」の方がなじみ深いのかもしれませんが、国債には個人向け国債の他に「新窓販国債」が発行されています。個人向け国債が発行される前は、国債と言えば新窓販国債を指していました。正確には、2007年(平成19年)10月から販売方法が変更になってから「新窓販」という言葉が国債の頭に付くようになりました。新窓販国債は2年、5年、10年が毎月発行されていて、額面5万円から購入することができます。金利は全て固定金利となっていますが、購入する際には金利(利率)ではなく応募者利回りを見るのがポイントです。
なぜなら、2014年に発行された新窓販国債、2年、10年は1月から3月まで全て金利は、2年=0.1%、10年=0.6%と同じだからです。5年は3月の発行条件がまだ決まっておりません。(たぶん、1月、2月と変わらず0.2%でしょう)
新窓販国債の発行条件は入札等を勘案して決められ、入札によって利率は同じでも募集価格が異なるからです。たとえば、10年は1月=額面100円に対して99円29銭、2月=同100円43銭、3月=同100円42銭というように価格は異なっているのです。これを応募者利回りに直すと、1月=0.676%、2月=0.553%、3月=0.555%になるのです。
結果として、利率は同じでも満期償還時まで保有することを考えれば、2014年1月発行の10年国債の収益が一番高かったことになるのです。ただし、実際の運用では低金利局面では長期の固定金利商品の利用を控えるのが鉄則。新窓販国債には近づかない方が賢明でしょう。
個人向け社債に至っては2月の発行は2件
個人向け国債、新窓販国債の金利に期待が持てないのであれば、少しリスクを取って個人向け社債への投資を視野に入れたいところですが、残念ながら個人向け社債は新規発行が休止状態と言えるほど少なくなっています。2014年2月に募集が行われたのは、東海東京フィナンシャル・ホールディングスが償還期間1年、金利0.5%の個人向け社債を35億円募集。もう一つが、クレディ・アグリコル・コーポレート・アンド・インベストメント・バンクが、償還期間4年、金利0.30%の個人向け社債を126.6億円発行したに過ぎません。
件数にして2件、発行額は合計して161.6億円ですから、ほぼ新規発行は休止状態と言ってもおかしくはない状況です。3月は年度末であることから、休止状態はしばらく続きそうな雰囲気です。新年度以降に期待するとしましょう。