鉄道/SL

「SL銀河」に乗って宮沢賢治の世界へ(3ページ目)

2014年4月12日からJR釜石線(花巻~釜石)での年間運行が始まる震災復興支援の観光列車「SL銀河」。蒸気機関車C58形239号機については度々目にしてきたが、旅客用車両4両については秘密のヴェールに包まれたままであった。このほど、内装がほぼ完成し、報道関係者向け試乗会においてようやく車内が公開され、釜石から遠野までの区間において「汽車旅」を体験することができたのでレポートしてみたい。

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

「SL銀河」の車窓から

SL銀河

釜石線の名所「めがね橋」を渡る「SL銀河」


SL銀河

釜石線を驀進する「SL銀河」


SL銀河

ユニークな「客車」を牽引して走るC58

釜石を出た列車は、甲子川(かつしがわ)を渡ると、谷あいに細長く延びた市街地に沿って西へ向う。線路際には住宅が多く、汽笛が響くと、外に出たり窓からのぞいて汽車に手を振る人が多い。早くも「SL銀河」は地域の人気者になっている。かつて鉱山があった陸中大橋で小休止。ここから仙人峠の難所だ。

大きな汽笛が山間に響くと、一呼吸おいてディーゼルカーの甲高い警笛も鳴る。機関車のすぐ後ろの1号車の先頭にも運転台があり、運転士が乗りこんでいるのだ。蒸気機関車をサポートすべく機器類を操作。列車は長いトンネル内で勾配を上りつつ左へ左へとカーブする。ほぼU字形に曲がりながら峠を登る。林の間から進行方向左手の窓から眼下を見下ろすと、先ほど停車していた陸中大橋駅が見える。線路に平行した道路端からは何人もがカメラを構えて山を登る列車を撮影している。

いくつものトンネルを抜け、やがて長いトンネルに入るとすべては闇の中。ようやく外に出たところが上有住。滝観洞(ろうかんどう)という鍾乳洞の最寄り駅だが、人家は全くない淋しい秘境駅である。

駅名標

すべての駅で異なるイラスト入り駅名標

再び長いトンネルをくぐり、足ケ瀬を過ぎると、ようやく山間部ののどかな景色へと移っていく。岩手上郷あたりからは人家も目立ち、山々に囲まれた盆地のような穏やかな田園風景の中を遠野へと向かう。

試乗会は遠野までだったが、ここまででも2時間弱の変化に富んだ旅が体験できた。遠野で1時間少々の長い停車時間があり、この間、C58は一旦列車を切り離して、ホームの先で給水や点検を行い、旅の後半に備える。

関連グッズ

早くも登場した「SL銀河」関連グッズ、パンフレット

遠野から花巻までは1時間半ほどの行程。全区間を乗り通せば4時間半近い長大な汽車旅となろう。本運転では、1日目(主として土曜日)が花巻から釜石まで、2日目(主として日曜日)が釜石から花巻までというように2日かけての往復となる。沿線で1泊して、のんびり旅を楽しみつつ、復興のために観光面からの支援ができればと思う。

 
<参考>
「SL銀河」運転ダイヤ、運転日の情報は、こちら

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