戻り率と金融商品としての金利は異なる
1ページでも書きましたが、学資保険の戻り率は、受取総額÷払込保険料総額×100で計算します。払込んだ総額に対して受取総額が何%増えるかを知ることができます。一方、金融商品の金利は通常1年間で増える率を表します。たとえば「大学入学時」の学資金準備コースに子どもが0歳で加入し18年間保険料を支払い大学入学時に受け取った場合は、18年間積み立てた後に受け取ることになります。18年間で増えた分を1年あたりの金利に換算すると戻り率よりも低くなります。
学資保険は、子どもと親の年齢、払込期間、子どもの生年月日、受け取り時期をいつにするかで保険料が違ってくるため、金利は〇%と一概にいうことはできません。メリットは、払い込んだ総額に対する、祝金や満期金の受取総額が契約の時点で決まっているためわかりやすいこと、親に万一のときも受け取れることです。
注意点は、世の中の金利が上がっていったときは、利回りの点で不利になる可能性があることです。祝金や満期金に加えて、経済情勢により変動する契約者配当金を満期時に受け取ることができますが、不確定であり、受け取れないこともあります。その点を踏まえて検討する必要があります。
加入を検討する際には、次のことも確認しましょう。
すでに入っている保険と保障が重複していないか
教育費の中で、最も負担が大きいのは大学の学費
「はじめのかんぽ」では、「大学入学時」のコースは大学入学時に基準保険金額の100%を受け取ります。「小・中・高+大学入学時」のコースは大学入学時に基準保険金額の100%を、加えて小・中・高の入学前にもそれぞれ5%・10%・15%を受け取れます。
受取総額が多い分、保険料は高くなります。「大学4年間」のコースは大学入学時、2年生、3年生、4年生でそれぞれ基準保険金額の25%を受け取ります。学資保険はまだ子どもが小さい時期に加入するため、将来の進路の予想は難しいものですが、もっとも費用がかかるのは大学時代です。この費用を確保することと、家計から負担できる保険料をもとに考えましょう。
基準保険金額やコースの選択と合わせて、すでに入っている保険と保障が重複しないかを確認することが重要です。
親が別の保険で十分な死亡保障を確保しているなら、万一のときはその保険金を学資に当てることができます。保障が必要なければ、学資保険ではなく、預金など別の金融商品で積み立ててもいいわけです。学資保険は、生命保険の一種であり、貯蓄と保障をひとつの商品で確保したいときに利用するのが向いています。入院特約を付けることもできますが、これにより保険料が上がります。あくまで学費の準備として加入したい、住んでいる自治体で子どもの医療費の助成があるなら特約は必要ないでしょう。
12歳までに払込みを終えて戻り率を高くする方法の他に、6カ月、1年など保険料を前納する方法もあります。前納すると期間に応じた割引があり、全部の保険料を一度に支払う全期前納にすると割引率が大きくなります。とはいえ、そもそも学資保険に入る目的は、コツコツと時間をかけて将来の学資を準備しておきたいという人が多いのではないでしょうか?そうであれば、毎月払いの契約で、月々の支払額を多めにして12歳までに払い込む、あるいはボーナスなどを利用して6カ月分や1年分を前納するのが現実的です。子どもの年齢は0歳に近い方が、払込期間が長くなる分、月当たりの保険料は安くすみます。
郵便局の学資保険「はじめのかんぽ」は出生予定日の140日前から入れるので、妊娠中に、これからの家計を見通して検討することもできます。
学資保険は中途解約すると損
加入後に中途解約すると、返戻金を受け取れますが、それまで払い込んだ保険料よりも少ない金額しか戻ってこない場合がほとんど。加入してすぐの解約は返戻金が全くないか、あってもごくわずかです。一度加入したら長期にわたる契約になるので、保険料を払い続けられるか、よく検討してから加入すること。他の保険会社の学資保険とも比較してみましょう。
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