どんなところ? ハウスメーカーのショールーム
先日、東京・新宿にある大成建設ハウジングというハウスメーカーのショールーム「TAISEIハウジングパーク」を見学してきました。同社は、耐震性など質の高い住まいづくりに定評のあるコンクリート系住宅「パルコン」を供給するハウスメーカーです。そこには外装材をはじめ、内装材、キッチンやバスなど設備といった住まいづくりに必要なありとあらゆるアイテムが並ぶほか、近年普及が進みつつあるスマートハウスに関するアイテム、さらには賃貸住宅を再現したスペースなどが用意されていました。
大成建設ハウジングに限らず、大手から中堅のハウスメーカー、さらには地域ナンバーワンクラスのビルダーでは必ずショールームを有しています。大手ハウスメーカーの場合、各地域の拠点ごとにある場合も多いです。では、なぜショールームを設けるのでしょうか。
それは、住まいづくり(要するに注文住宅のことですが)は、何もないところから始まるものだからです。もっとわかりやすく説明するには住宅展示場のモデルハウスを例にすると良いと思います。「モデルハウスと同じ住宅を建てて下さい」というお客さんはいませんし、逆に「同じ建物を建てましょう」というハウスメーカーもいません。
要は、住宅というのは1棟1棟異なるものなのです。それは家族構成やそれぞれのニーズも違いがあるからです。敷地のかたちやそこから発生する法規制も違いが出てきます。ですから、それこそ細部にわたる検討が必要になるのです。それを行うのがショールーム。
モデルハウスはあくまでも「こんなかたちで家ができるのですよ」というものですから、ショールームで細かい打ち合わせをして、プランに反映していくというスタイルを取るのです。ですから、ショールームは主に、契約後に施主が訪れる場となります。
「細部にこだわる」ことの大切さ、難しさとは
さて今回、大成建設ハウジングのショールームを訪れて改めて感じたのは、検討する材料の多さでした。例えば外観のコーディネート。外壁に一部タイルなどの素材を組み合わせるとどうなるか、というのは外からの住まいの印象を決め、それは住む人たちの長期的な愛着を左右するものです。つまり外観は「落ち着き感」や「街並みとの調和」なども重視すべきなのです。ですので、施主の意見とプロとしてのハウスメーカーの意見のすり合わせをして、最も適切なかたちを決めることが必要になります。デザインやカラーリングで街の雰囲気から浮いてしまった住宅を見かけることはありませんか。そういったことを防ぐことができるのです。
外観だけでなく、内装では例えば床材と壁の素材、カーテンや絨毯、照明などを含めたインテリアコーディネートの全体的な統一感を図ることなど、住まいづくりにはすべきことがそれこそ限りなく存在します。ですが、そうした細かな検討、つまり細部へのこだわりを調整していくことが、満足度が高い住まいづくりには欠かせないのです。
ちなみに、住まいづくりの世界には「標準仕様」という言葉があります。これはハウスメーカーが「この中から選んで下さい」と、あらかじめ設定している部材や素材、設備などのことです。その狙いはいくつかあります。
上記のような細かい検討を行うと余りに時間がかかってしまうためですが、一方では施主を疲れさせない配慮もあります。また、一括購入することで、コストを抑えるために標準仕様とするケースもあります。一般的に、「ハウスメーカーは全て標準仕様」と思われがちですが、そうではありません。
一定の制限はありますが、施主のこだわりには最大限対応し、標準仕様以外のものも提案することができます。次のページでそうしたことも含めて説明していきます。