過去、日本の住宅屋根の多くが瓦屋根(かわらやね)を使用していましたが、コスト面と地震対策で敬遠されてきている現状があります。ここでは少し勘違いされている瓦屋根に焦点をあてて、その実情と魅力についてご説明いたします。

瓦屋根は地震に対して弱いのか?

「瓦は重いので、地震に対しては揺れやすく弱い」とか「地震時には瓦屋根の近くにはいかないように」という話を聞きます。本当のところはどうでしょう。

昔の建物はそうでした。地震に対して建築基準法が定める設計耐力はそれほどではなく、かつ建てる側にも十分に浸透しているとは言えませんでした。大工の経験により建てられている木造住宅も少なくはなかったかと思われます。

ただし、大きな地震があるたびに建築基準法の改正が行われ、重い屋根と軽い屋根、それぞれで設計基準が強化されるようになりました。現在では、地震に対する耐力は上がってきています。また瓦自体も揺れ等で落下することがないように、しっかりと固定する工法がほとんどとなっています。

また、瓦メーカーも重量を軽くすることを検討していて、見えていない裏側の無駄な部分を削り軽くした軽量瓦も造られています。さらに瓦のずれを防止する突起や、上下左右の瓦が浮き上がらないようにツメの付いた瓦など考えられた瓦も商品化されています。

下図は瓦屋根でもその重さに合わせて構造が考えられているということを簡単に表した模式図です。
瓦屋根の場合

瓦屋根に合わせた骨組み設計

軽量屋根

軽量屋根に合わせた骨組み設計


瓦屋根の種類

瓦の種類は大きく分けて、粘土からできたいぶし瓦、陶器瓦などがあり、形状から分けると丸瓦、和瓦、平瓦、スパニッシュ瓦、棟瓦、軒瓦、鬼瓦など、細かく部位ごとに分けると数十種類の瓦があります。スレート瓦、セメント瓦、金属製瓦などは瓦という言葉が付きますが、本来の粘土からできた瓦を模した物です。

つぎに粘土から造られた瓦で代表的な表情の区別を写真と共に説明いたします。

■いぶし瓦(つやあり)
銀色の艶のある色で優雅に立派に見えます。

艶のあるいぶし瓦

艶のあるいぶし瓦


■いぶし瓦(つやなし)
銀色のつや消しの色でしっかりとした風貌で控えめな感じもします。

つや消しのいぶし瓦

つや消しのいぶし瓦


■陶器瓦
土の色そのものの味わいを出した瓦で洋風建物が似合います。

素焼き風の陶器瓦

素焼き風の陶器瓦


■陶器瓦
釉薬をたっぷりと塗った瓦で光沢の美しさが映えます。

釉薬を塗った陶器瓦

釉薬を塗った陶器瓦


長い目で見ると、瓦屋根は決して高くない

住宅を建てる時には建設時のコストを抑えようと、どうしても工事金額だけに目がいきがちです。瓦屋根は高いというイメージで敬遠され、イニシャルコストの安いアスファルトシングルや化粧スレートを選ばれるケースがあります。

実際に1平方メートルあたりの工事費も含めた屋根材料の価格差を表してみるとおおよそこのようになります。

・瓦 : 8000~12000円
・アスファルトシングル(アスファルトシートを重ねて粒状石で彩色された物) : 4000~6000円
・化粧スレート(コロニアル/合成繊維をセメントに混ぜて成型した物) : 5000~7000円
・金属板(ガルバニウム鋼板/アルミ亜鉛合金で錆びにくい物) : 6000~10000円

確かに、瓦はその他の屋根材と比べると少し値段は上がりますが、長い目で見ると決して高くはありません。なぜなら、メンテナンスがほとんど必要ないからです。

例えば化粧スレートでは7年~15年でみすぼらしくなり、塗装補修をするケースが多いと言えます。塗装工事となると屋根への足場が必要ですし、塗装費以外に既存屋根の洗浄・補修も必要と思われます。

しかし瓦屋根ですと、10年に一度程度の定期点検ぐらいで済みます。屋根の形状にもよりますが、瓦屋根の方が塗装補修工事が必要ないことを考えると、長い目で見ると安くなるケースがほとんどです。

そしてなにより瓦屋根の見た目の風格と美しさが感じられ、住宅全体に愛着も湧いてきます。長期的にみると決して高くない瓦、しかも美しい瓦です。ぜひ見直してみましょう。

瓦屋根

いぶし銀の美しい瓦屋根


アスファルトシングル

みすぼらしくなりやすいアスファルトシングル


化粧スレート

塗替える前の化粧スレート


なかなか屋根を見て歩くことは少ないと思いますが、おのずと目に飛び込んでくる風景には屋根が写り込んでいると思います。そこにはみすぼらしくなった屋根よりも、それぞれの住宅で個性のある美しい屋根があるといいですね。



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