初任給の平均額はどれくらい?
新卒の就職率や初任給は、その年の景気や企業の状況をダイレクトに表している数字といわれています。特に初任給は業種別の集計がでるため、より詳しい景気指標として見られることもあります。毎年気になる初任給ですが、2014年3月卒の初任給はどうだったのでしょうか?日本経済団体連合会が実施した「2014年3月卒新規学卒者決定初任給調査結果」をもとに、初任給事情をみてみましょう。経団連企業会員および東京経営者 協会会員企業1909社を対象とし、515社の回答結果です。従業員500人以上規模の会社が76.9%を占めており、大企業が中心の調査結果となっていま す。
大卒事務系は平均20万9868円、前年比で0.56%アップ
表は学歴別、職種別の初任給の金額と対前年上昇率です。2014年まではほぼ横ばいか微増といったところでしたが、2014年は0.36~0.64%アップと高い伸びになりました。金額を見てみると、大卒事務系で20万9868円、大卒技術系で20万9897円とどちらも20万円を超えて21万円手前といったところでほぼ同水準です。また、全ての学歴で技術系のほうが事務系より高い金額となっています。
初任給を引き上げた企業は42.5%、大幅増
初任給を前年と同様に据え置いた企業は56.5%でした。2013年は90.3%、2012年は91.6%と据置いた企業が大半だったのですが、2014年は56%まで下がっています。前年の初任給から引き上げた企業は42.5%。2013年は9.1%、2012年は8.2%と前年までは引き上げた企業が1割も満たなかったのに、2014年は4割にもなりました。
2014年は4割の企業が初任給をひきあげ、好調な結果となりました。2015年は企業のベースアップが高額になっており、初任給も更に良い結果となるのではないでしょうか。
製造業が好調。新聞・出版・印刷、化学・ゴム、紙・パルプがトップ3
2014年 産業別初任給(大学卒事務系)。製造業のほうが高水準だが、産業によってバラツキがある (出典:日本経済団体連合会「2014年3月卒新規学卒者決定初任給調査結果」) ※( )内の数字は大学卒事務系の全産業平均を100.0とした割合。集計企業数が2社に満たない場合は数字を伏せているが、平均には含まれる
金額でみると、「新聞・出版・印刷」が21万9917円でトップ。続いて、「化学・ゴム」21万5851円、「紙・パルプ」21万4050円。非製造業では、「運輸・通信業」が健闘しており、21万3348円となっています。
電気・ガス業、土木建設業、金属工業が低水準
初任給が低い金額の産業をみてみましょう。一番低かったのが、「電気・ガス業」で19万9813円。唯一の10万円台です。続いて、「土木建設業」20万3939円、「金属工業」20万4144円という結果に。ただ、「電気・ガス業」は給与水準としては高い産業です。例えば、国税庁が調査した「平成25年分 民間給与実態統計調査」によると、全体の平均給与が413万6000円のところ、「電気・ガス・熱供給・水道業」は695万5000円と全産業の中でトップでした。初任給は低水準でも給与の上昇はのぞめそうです。初任給だけを見るのではなく、その後の給与水準を調べることも大切 ですね。
前年比では窯業、金融・保険、卸売・小売業が好調
最後に、2014年と2013年の調査結果を比べてみましょう。2013年の大学卒事務系の初任給の平均は20万8721円で、2014年20万9868円は0.56%アップの良い結果でした。産業別でみると、前年より大きく増やしたのは「窯業」で2013年19万9500円だったのが2014年20万7880円と8380円アップしています。また、「金融・保険」が2013年 20万615円で2014年 20万7160円と6545円アップ、「卸売・小売業」が2013年 20万2991円が2014年 20万8078円と5087円アップとなっています。
就職活動中の学生にとって気になる初任給ですが、入社後の給与事情はもちろん、初任給の過去からの動向などもしっかりと調査しておくことが大切です。また、景気指標ともなる初任給、2015年はさらに増額となることを祈ります。
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