限られた期間で果たして現地で取得すべきかも含め、検討するためのヒントをご提供します。
ワーキングホリデー滞在中に取得できる代表的な資格と注意事項
「ワーキングホリデーで取得できる資格」をインターネットで検索すると次のような資格が紹介されています。◆児童英語教師(J-Shine)*1
*1)児童英語教師(J-Shine)は、小学校などに派遣される英語講師のアシスタントに関連する資格です。
◆TOEIC等の語学力を評価
◆スキューバダイビング、ライフセイバー
◆バリスタ
◆ヨガ講師
◆チャイルドケア
◆アロマセラピー
など、様々な資格が取得可能なようです。
ですが、取得できる資格のほとんどは公的な資格ではありませんので、次のような確認が必要です。
◆資格の運営主体は信用できる団体か?
◆当該の業界では必要とされている資格なのか?
◆日本に持ち帰っても有効な資格なのか?
◆その資格を取得するために使う時間とお金は、回収の見込みがあるのか?
特に、ワーキングホリデーの場合、一部を除き期間が1年と限られています。そうしたなかで、資格を取得するために使う時間が、その「投資」に見合うものなのかは良く考えるべきでしょう。
留学エージェント等に勧められるままにならずに、難易度の高い資格であれば、過去にどれだけの人がプログラムに申し込んで、その資格を得ることができた人は一体何人なのか、具体的な数字を教えてもらうことも大切です。ここでは紹介していませんが、上級資格であるほど1年間の滞在では通常は取得しにくいのが実情です。
実務の伴わない「資格」はそれほど有効ではない
また、どのような資格が再就職に有利なのかという質問も受けますが、資格はよほどの国家資格でもない限り、就職活動においては有利に働くことはありません。やはり実務が伴わないと、あまり評価はされません。転職サイトを見ると、企業のニーズが把握できますが、経験者は募集していても、有資格者を募集しているケースが少ないことからも明らかです(前出の児童英語教師は海外経験者の活用が目的ですのでこの限りではありません)。ただ、資格ではありませんが、TOEICのスコアは取得しておくべきでしょう。再就職を想定した場合、海外体験者は必ず英語力を問われます。
オーストラリアやカナダではTOEICのスコアを上げるためのトレーニングをする学校もあるので、生活のなかで得た語学力を、きちんと整理してスコアという形に残すことは有意義だと思います。
1年間の計画を立てて何ができそうかを把握しよう
ワーキングホリデーの渡航を検討している方は、こうした問題点を把握したうえで、限られた1年間をどのように過すのかプランを立ててみるといいでしょう。渡航国で旅行もしたいでしょうし、意外と時間がないことが分るはずです。ワーキングホリデーは再チャレンジ的な要素もあり、自分を変えるために渡航するという方も少なくなりません。
「現在務めている会社がどうもしっくりこない」とか、「このまま30代を迎える前に、違う生き方をしてみたい」、「数年間ただただ仕事ばかりで、ここで一度人生を見つめ直したい」といった理由がワーキングホリデー参加へのきっかけになっている方は、無理に「資格」を取ろうとせず、いろいろなことにチャレンジするべきでしょう。
現地では極力積極的に関わろう
海外という環境は、日本ではチャレンジできなかったこと、チャレンジしにくかったことを思いのほか参加しやすくしてくれます。例えば、日本では若い人が農業や酪農の体験をすることに、ハードルがあるかもしれませんが、オーストラリアやニュージーランド、カナダなどでは、ワーホリで多数の方が参加しています。カフェや料理店などは比較的容易に仕事先として見つけることができますし、学校の先生体験もオーストラリアであればそれほど難易度は高くありません。ツアーガイドやホテルでの仕事も体験できます。
ワーキングホリデーは一定の条件のもと海外で自由に暮らすことができる制度です。ヨガ教室を開こうとか、ダイビングショップに勤めたいと言った目標が既にある方ならいいですが、その資格が日本にいても取得可能であるならば、敢えて限られた時間を削らずに、人生の転機になるような自分のしたいことを見つけるために、様々な物事にチャレンジしてみてはいかがでしょうか? せっかく、思い切った決断をして海外に単身渡るのですから。