企業年金のひとつ「厚生年金基金」とは?
国の年金制度で、会社員が加入するものが「厚生年金」です。国が保険料を集め管理・運用し、将来年金として我々に給付してくれます。これに対し民間で独自に積み立てや給付を行う仕組みを「企業年金」といいます。制度を実施するかどうか、どんな制度を選択するか、モデルの金額をいくらくらいにするかなど、会社が自由に決定することができます。ところが「厚生年金基金」という制度もあって、私たちを混乱させます。「○○業厚生年金基金」のように業界団体で実施されることが多いのですが、実はこれ、企業年金のひとつです。「厚生年金」と名前についているのに不思議ですね。
詳しくみてみると、「厚生年金の一部」+「企業年金」で厚生年金基金はできています。本来、国へ保険料を納めて国が年金を払う部分の一部を民間で管理・運用・給付するとともに、企業年金としても掛金を集め、管理・運用・給付することで、スケールメリットを活かした年金制度が作れるしくみでした。
「でした」と過去形で述べたのは、そうしたメリットが過去のものになってしまい、法律改正によって厚生年金基金制度の多くがこれから解散を検討・実施していくことになったからです。
2014年4月から、厚生年金基金制度改革が始まる
厚生年金基金は、我が国の景気がよかったころは、国の厚生年金相当の部分について、国が求める運用利回り以上に稼ぐことができ、その分を企業年金部分の充実に回すことができました。会社としてはおいしい話です。そこで日本国内にはたくさんの厚生年金基金が作られました。ピーク時には約1200万人が利用するなど、国内最大の企業年金となりました。ところがITバブル以降の株価の低迷やリーマンショック後の世界的景気悪化の影響を受け、むしろ運用はマイナス、足りない部分を追加で補てんしなければならなくなりました。おいしい話はすべて裏返り、企業の負担増となってしまいました。
いろいろな議論が行われた結果、厚生年金基金制度については、国の厚生年金相当は基本的に国に戻そうということになりました。法律改正が行われ、2014年4月からその見直しがスタートします。消費税8%への引き上げは、厚生年金基金の見直しが行われるスタートでもあるのです。
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