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リオ五輪を目ざす若き日本代表が本格始動!

本田圭佑のACミラン移籍やJリーグ各チームの始動が話題を集めるなかで、若き日本代表が2016年へ向けて動き出した。同年夏開催のリオ五輪出場を目ざすU-21(21歳以下)日本代表が、オマーンで行なわれた国際大会に参加したのだ。次代の日本を背負う若武者の戦いぶりを振り返ってみよう。

戸塚 啓

執筆者:戸塚 啓

日本代表・Jリーグガイド

経験重視で臨んだU-22選手権

U-22選手権にあえて21歳以下のメンバーで臨んだ日本代表。その狙いとは。

U-22選手権にあえて21歳以下のメンバーで臨んだ日本代表。その狙いとは。

U-21日本代表が出場したのは、アジアサッカー連盟(AFC)が開催したU-22選手権である。この大会は2年に一度開催され、2015年2月開催予定の次回はリオ五輪のアジア予選を兼ねることになっている。

リオ五輪の出場権獲得から逆算したプランとして、日本は今大会を経験値アップの機会と位置づけた。大会のレギュレーションどおりに22歳以下のチームを編成する国が多いなかで、あえて21歳以下のチームを送り込んだのである。

1月12日のグループリーグ第1戦で、日本はイランと激突する。0対1、1対1、2対1と前半のうちにスコアが動き、後半開始直後の連続失点で2対3と逆転されてしまう。しかし、66分に同点ゴールをあげ、3対3の引き分けに持ち込んだ。

続くクウェートとの第2戦を0対0で引き分けた日本は、オーストラリアとの第3戦に臨む。決勝トーナメント進出を自力でつかむには、勝利をあげなければならない。

序盤から攻勢を仕掛けた日本は、大量4ゴールをあげてオーストラリアを粉砕した。1勝2分でグループ2位となった日本は、準々決勝でイラクと対戦する。

2013年初夏に行なわれたU-20ワールドカップで、イラクはアジア勢最高のベスト4入りを果たしている。フル代表に招集された経験を持つ選手も多い。この年代ではアジア有数の強豪だ。

ゲームは序盤から守備の時間が長くなる。相手の攻撃力を抑えるためのプランで、日本からすれば攻めさせている展開だ。自陣での攻防が多いものの慌てるところはなく、後半に入ると日本の攻撃に迫力が増していく。

ところが、どちらが勝っても1対0で終わることが濃厚となった終盤に、日本は痛恨の失点を喫してしまう。残り時間わずかで背負ったビハインドはあまりに重く、そのまま終了のホイッスルを聞くこととなった。

ベスト8敗退の裏に潜むもの

アジアの戦いでベスト8に終わったという現実は、サッカーファンに物足りなさを募らせるかもしれない。ただ、結果の背後に潜む現実を見定めておく必要はある。

1月12日の大会初戦へ向けて、チームが集合したのは1週間前の1月5日である。その日の夜にオマーンへ出発し、6日に現地入りした。同日からすぐにトレーニングを開始したものの、中東の気候に身体を馴染ませながら、時差を取り除く必要がある。いきなりトレーニングの強度をあげることはできない。手倉森誠監督が戦術を浸透させるには、時間に限りがあった。

そもそもこの時期は、Jリーグがシーズンオフである。個々にトレーニングを積んできたものの、コンディションは選手によってバラつきがある。実戦から遠ざかっているため、試合感覚も研ぎすまされていない。様々な条件を考慮すると、苦戦は予想されたものだったのだ。

大会を終えた手倉森監督は、「イラクに負けたこと、悔しさという財産を大切にしていきたい」と話した。2008年から昨年までベガルタ仙台で采配をふるい、2012年にJ1で優勝争いを演じた実績を評価され、46歳の指揮官はリオ五輪を目ざすチームを託されている。

集合と解散を繰り返しながら強化をはかる代表チームは、クラブチームのようなまとまりを持ちにくい。その意味で、手倉森監督は適任だ。情熱と理論を持ち合わせた彼は、チームの一体感を築き上げる手腕に長ける。選手を奮い立たせる言葉を持ち、強固な信頼関係をピッチ上の結果に結びつけることができるのだ。

五輪の舞台に立った歴代のチームには、年代別代表でプレーしながら日本代表に選出される選手を含んでいた。08年北京五輪代表の香川真司(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)や内田篤人(シャルケ/ドイツ)であり、12年ロンドン五輪代表の清武弘嗣(ニュルンベルク/ドイツ)や権田修一(FC東京)だ。

ブラジル・ワールドカップが6月に開催される2014年は、アルベルト・ザッケローニ監督率いる日本代表がサッカー界の話題を独占するだろう。しかし、ワールドカップを経て日本代表がさらに成長していくには、新戦力の底上げが欠かせない。リオ五輪を目ざす世代の台頭が、日本サッカーをたくましくしていくのだ。いまはまだ全国的に無名の彼らが知名度を高めることは、五輪予選突破の可能性がひろがることをも意味する。
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