見習うべきは、黒田の野球に対する真摯な姿勢
39歳になってもなお、高い評価を得ている黒田。たゆまぬ努力を続けてきたからに他ならない。
昨シーズン、チーム最多タイの32試合に先発し、201回1/3を投げ、11勝13敗、防御率3.31と先発ローテーションの柱として活躍した。FA(フリーエージェント)となった今オフは、メジャー残留、日本球界復帰に加え、引退も選択肢にあったという。しかし、昨年12月上旬、ヤンキースと1600万ドル(約16億5000万円)の1年契約を結んだ。これには投球回190で25万ドル、210回に達したらさらに25万ドルを受け取る出来高払いが付く。
2月に39歳となる男が手にする額としては破格だろう。もし、日本のプロ野球広島に残っていたら、これほどの年俸はもらえなかったのは間違いないし(一説によれば、今オフ、広島は3億円のオファーをしたとか)、ひょっとしたら引退していたかもしれない。それがこれだけの年俸を手にできたのは、黒田がたゆまぬ努力を続けてきたからに他ならない。
厳しいトレーニングで体をいじめてきたことはもちろん、相手打者を徹底的に研究し、1球たりとも失投をしないようにした。スプリットを始めスライダー、ツーシームを低めに集め、決して高めに投げないようにした。ドジャース時代もヤンキースに移籍してからもコンスタントな成績(2010年から4年連続2ケタ勝利)を収めているのは、何よりも適応能力の高さを示している。そうでなければ、これだけ高い評価をメジャーで得ることはできないのだ。
ヤンキースは楽天・田中将大投手を獲得する有力候補に挙がっているが、黒田の同僚であり、通算270本塁打のバーノン・ウェルズ外野手は、地元ラジオ番組で「黒田は田中の良き教育係になる」と発言した。その理由として、スプリットを決め球にしていることや、ロサンゼルスとニューヨークの2大都市でのプレー経験を挙げたが、黒田の野球に対する真摯な姿勢こそ田中の見習うべきポイントだろう。
メジャー7年目の今季も先発の柱として期待がかかる。「頑張ってここまで積み上げてきたものがある。ここまで来たら走り続けるしかない」と黒田は気合を入れ直した。