「カメラばあちゃん」が残した村の記憶と記録
IZU PHOTO MUSEUM(静岡県長泉町):増山たづ子 すべて写真になる日まで
岐阜県徳山村で農業を営みながら民宿を経営し、のんびりとくらしていた増山たづ子。彼女は、自分たちが暮らす村がダムの底に沈むと聞いたときから、それまでほとんど使ったことがなかったカメラを使い、村のすみずみまで風景を撮り始めることにしました。そのときちょうど60歳。
彼女は2006年に88歳で亡くなるまでに、年金の大半を使い、廃村後も村に通って風景を写真に残し続けました。彼女の死後に残されたネガフィルムはなんと10万枚!その姿はマスコミにも注目され「カメラばあちゃん」として人気者になりました。
この展覧会では、村の風景、人々の表情をとらえたアルバムや、増山たづ子が録音した村の音などを展示しています。彼女を突き動かした衝動のほんの一部ですが、とてつもなく心を打つものばかりです。2008年に徳山ダムは完成し、徳山村はすでに水の底ですが、彼女が残した作品、そして作品の鑑賞者の心のなかにはきちんと村の姿が残り続けているのです。
■DATA IZU PHOTO MUSEUM(静岡県長泉町):増山たづ子 すべて写真になる日までについて
展覧会名称:増山たづ子 すべて写真になる日まで
会場:IZU PHOTO MUSEUM
会期:2013年10月6日(日)~2014年3月2日(日)
開館時間:1月:10:00-16:30、2・3月:10:00-17:00
※入館は閉館の30分前まで
休館日:水曜日(ただし祝日の場合は開館、翌日休館)
Web: http://www.izuphoto-museum.jp/
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