■作品名 十角館の殺人
■作家名 綾辻行人
■おすすめポイント・読みどころ
日本の探偵小説、推理小説は、ながらく江戸川乱歩から横溝正史にいたる系譜の影響の下にあり、英米の本格推理小説のように、犯人当てゲームを楽しむというよりは、その小説の世界、雰囲気を楽しむようなものが主流でした。ですがこの綾辻行人『十角館の殺人』以降、新本格と呼ばれる潮流ができ、日本でもパズルとしても楽しめる作品が出てくるようになりました。その意味でも、これは記念碑的な作品です。

内容は典型的なクローズドサークル、つまり密室殺人ものです。半年前、とある孤島で青屋敷と呼ばれる邸宅が全焼し、中から四人の他殺と思しき遺体が発見された。その孤島には青屋敷とと十角形の奇妙な形の館、その名も十角館があったのだが、青屋敷なき今、島にある建物は十角館だけ。そこに大学のミステリサークルの面々が降り立ち、一週間をそこで過ごすのだが……、というのがこの小説の物語。

この作品が最初に発表されてからもう四半世紀が経ち、むしろこの手のきっちりとしたパズラーも珍しくなってきつつあるこの頃ですが、古今東西の名作、名探偵たちへの愛のこもった作り、精緻に練られたトリック、映像では絶対に再現不可能な、小説ならではの仕掛けなど、今読み返してもやはり最高に面白いです。動機がちょっと弱いかもしれませんけれど、それでもこのパズルを解くには、なんの問題もありません。

推理小説を復興させた、最大の立役者であるこの小説、ミステリ好きなら読まなくちゃいけませんよ。このパズルがピタッとはまる快感、ぜひおためしあれ。

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