営業の場だけではないモデルハウスの狙い
ハウスメーカーが展示場にモデルハウスを建てるのは、第一に営業の場を作るということにあるのですが、実はそれだけではありません。もう一つ大きな狙いは、モデルハウスにおいて素材や技術の信頼性や裏づけを確認するためです。住宅展示場のモデルハウスは、工務店や建築家にはないハウスメーカーの特徴。ここで性能の検証や様々な試行を行っている
ハウスメーカーは、様々な地域にモデルハウスを建てることで、そのエリアでどのような性能値、例えば断熱性能が得られるのか確認し、必要であればもっと性能をよくするための対策をとるといった工夫をしているのです。
工務店や建築家の場合、このようにモデルハウスで検証するということはほとんどありません。それは資金や規模の問題が絡むからです。彼らの場合は、モデルハウスの代わりに模型を作ってプラン提示を行うケースが多いですね。また、これまでに手がけた住宅の見学会を行う場合もあります。
言うなれば、工務店や建築家の場合、素材メーカーからの情報が頼りで、実際のところお客さんの家を建てて確認しているといった状況なのです。ですから元々経験に頼らざる部分が大きいですし、依頼先によって経験値が大きく異なりますから、ハウスメーカーに依頼するより注意が必要になります。
利点ばかりではないハウスメーカーの特徴
このように紹介すると、ハウスメーカーの方が皆さんに有利と感じられると思いますが、ちょっと視点を変えると違った様相が見えてきます。それはコストの視点。ハウスメーカーの場合、このような研究開発や検証、モデルハウスを建てるなどのコストが、皆さんの家づくりに反映されます。一方、工務店や建築家に依頼する場合、このようなコストがかからずにすみますから、比較的値ごろ感のある住宅を手にできると考えられるのです。こうなると、コストの安さをとるのか、検証による信頼性をとるのかという判断が必要になり、どちらを重視するのかは皆さんの考え方次第になります。
もうちょっと指摘しておくと、一言にハウスメーカーといっても様々な性格を持ちます。大手といわれるハウスメーカーの中にも、素材や技術の検証に熱心でない会社もあります。ですから、依頼先を選ぶ際には、その信頼性を測るために様々な角度から、検討をする必要があります。
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