C58形239号機の生涯
蒸気機関車C58形は、中型の旅客・貨物両用の万能機関車として1938年に誕生し、その後10年間に427両が製造され、もっぱら全国の地方路線で活躍した。239号機は、1940年6月に製造され、はじめは名古屋に配置されたが、1943年に岩手県三陸の宮古機関区(今はない)に転じ、以来、1972年に廃車となるまで山田線など岩手県の路線で活躍した。その後、1973年より、盛岡市内にある岩手県営運動公園にて静態保存されてきた。
もう二度と動くことがないと思われた公園の展示機関車に奇跡が起こったのは、東日本大震災の後だった。すでに3両の蒸気機関車を復元して各地で好評を得ていたJR東日本は、4両目の蒸気機関車を復活させて、もっぱら岩手県を中心とした東北でのイベント用に使用し、ローカル線の活性化で地域の復興に寄与することを考えた。数多くの保存機関車を調査した結果、比較的状態のよかったC58形239号機に白羽の矢が立ったのである。