マルマライの歴史と遺跡
将来的にはイスタンブールの公共交通機関におけるハブ的役割を担うイェニカプ駅は、かなり壮大なつくり
現在、駅構内やホームなどにはマルマライの工事法や歴史を紹介するパネルが展示されており、人々の関心を呼んでいます
イスタンブール市民の生活を大きく変えることになるマルマライですが、実は海底トンネル構想は大昔からトルコ人が夢見て来たプロジェクトでした。
その昔、オスマントルコ帝国時代の1860年代に、なんとボスポラス海峡を走る海底トンネル計画が持ち上がっており、設計図なども残っているということで、開通式ではトルコ政府要人やメディアは、たびたびこのマルマライプロジェクトを「世紀の夢」と呼んでいました。また、現在マルマライの駅にはところどころこのプロジェクトの歴史と工事経過をたどる展示も行われており、人々の関心を呼んでいます。
イェニカプ駅にある発掘された沈没船のレプリカ展示
2004年に工事が着工したこのプロジェクト、アジア側のウスキュダル駅とヨーロッパ側のイェニカプ駅の掘り起こし作業中、多くの遺跡に遭遇しました。人の足跡や生産された麦穂、新石器時代の木製道具などが発掘され、こうした遺跡の考古学調査の結果、このイスタンブール旧市街半島にはおよそ8500年も前から人々が定住していた痕跡が確認できたのです。この他沈没船跡35隻やチャペル跡など時代を負うように様々な遺跡が発掘され、ビザンチン帝国初期~オスマントルコ帝国時代末期までの帝国時代のものが次々に出て来ました。こうした歴史的な遺跡発見のため、マルマライ工事は一時中断。発掘作業が行われていたため、実際の開通が予定よりおよそ4年の遅れたのです。
発掘された遺跡が時代ごとに展示されているイェニカプ駅
新たにオープンしたこのイェニカプ駅には、こうしたマルマライの工事中に発掘された遺跡のレプリカがところどころに展示されています。展示物や高い天井など、駅舎全体があたかも博物館のようないでたちとなっているので、一度は訪れてみる値あるかも。
イスタンブール考古学博物館にある、マルマライプロジェクト工事で発掘された遺跡に関する特別展
これ以外に、現在イスタンブール考古学博物館には「都市の8000年の歴史に開く門戸(“Gateway to 8000 years of the city”)」という特別展が行われており、ここではイェニカプ発掘で出て来た新たな発見や遺跡、発掘にかかわった人たちの数など、の展示が行われており、非常に興味深い内容となっています。
イスタンブール考古学博物館>>>
イェニカプ発掘について(英語)