「ドゥーパティスリーカフェ」の新シェフパティシエ、高山浩二氏はどんな人物?
2014年1月より、菅又シェフと交代して「ドゥーパティスリーカフェ」のシェフパティシエに就任する高山浩二シェフの経歴は、最初にご紹介したとおり、「クレッセント」で柳正司シェフ、「成城アルプス」で太田秀樹シェフ、「浦和ロイヤルパインズホテル」で朝田晋平シェフなど日本を代表するベテランパティシエの方々に師事し、朝田シェフが独立され2011年に「パティスリー アプラノス」をオープンした後は、同店のスーシェフを務めてきました。
チョコレート作品を中心に様々なコンクールにも挑戦してきた方で、2010年5月に中国・上海で開催された「第3回アジア・ペストリー・チーム・コンテスト Asian Pastry Team Contest」に出場した日本代表ペアの一人にも選ばれ、チョコレートのピエスモンテ部門を担当し、見事にチーム優勝を果たしています。
高山シェフの試作品。手前:シナモンとコーヒー風味のチョコレートムースのケーキ、中央:キャラメル味の生地とコーヒーのバタークリームのケーキ、奥:アプリコットとくるみ、アールグレイ風味のミルクチョコムース
そんな高山シェフは現在、2014年明けから発売となる新作の生ケーキの試作に取り組んでいます。まだ完成はしておらず名前も未定でしたが、試食をさせていただきました。手前のものは、バニラとほんの少しシナモンスティックで香りづけしたクレームブリュレ入りのビターチョコレートムース。ムースにはコーヒーの香り、そして土台の生地にシナモンパウダーを加えています。生地の上にはアーモンドをカリッと香ばしくキャラリゼしたものを少し散らし、食感のアクセントに。
中央はキャラメル味のアーモンド生地を、1枚ずつクレームブリュレの表面のように香ばしくキャラメリゼして、その間にコーヒー味のバタークリームをサンドし、何層にも重ねたもの。シンプルな作りですが、キャラメルのほろ苦さがバタークリームの口どけをすっと後味よく切ってくれるのが印象的です。
奥はアプリコットのクリームとゼリーを中心にサンドしてあり、土台には卵黄を加えずアーモンドのマジパンにアプリコットピューレを加えていくという珍しい作り方をしたアーモンド生地、上にはアールグレイ風味のミルクチョコムースを重ねてあります。デコレーションにはくるみのキャラメリゼとセミドライアプリコット。杏の酸味とナッツの香ばしさ、ミルクチョコレートのやさしい甘さに爽やかなアールグレイの香りが加わって、様々な味わいが融合しています。
これらのお菓子には、高山シェフがこれまでの修業店で学んできた様々な要素、好きだった味や仕込み方などが組み合わされているそうです。生菓子は、2014年以降、全面的に入れ変えることになるそうですが、焼き菓子類は、菅又シェフのレシピをすぐに変えるということはなく、少しずつ新しくなっていく予定です。
高山シェフにとって「ドゥーパティスリーカフェ」は、6年間、菅又シェフがオリジナリティを発信してきた店なので、そのシェフパティシエになるということに、プレッシャーも感じたそうです。けれども、入社以来、菅又シェフと共に働く中で、色々と勉強になっているのだそう。「そういうやり方もあるんだ、とお互いに発見があります。引き継ぎの難しさもありますが、今は、自分の出来ることを最大限やっていこうという気持ちです」と語り、その中で、徐々に自分なりのスタイルを発揮していきたいとのこと。
「試作をすごくさせてもらっているので、改めて自分のお菓子を見つめ直すことができ、細かくわかるようになりました。これからは自分で考えてやっていかなくては、と悪戦苦闘しつつですが、楽しんでます。」という高山シェフ。これまでの職場では、先輩後輩という関係の中にあることが多かったそうですが、「菅又さんが、色々とはっきり言ってくれるのでありがたいです。同世代でやってきたことがなかったので、楽しいですね。」と貴重な引き継ぎの期間を存分に活かして、新たな刺激を得ているようです。
最後のページでは、菅又シェフから伺った、この6年間を振り返って思うこと、今後への展望についてご紹介します。