施す心をもって
家づくりは自分の土地に建てるのだから特別違反をしなけげば自由に立てることができます。しかし敷地が狭小であったり前面道路が狭かったりすると、工事をするにあたり何かと近隣には迷惑をかけてしまうものです。近隣の方とはこれから長いお付き合いなるでしょうから、仲良くしておきたいですね。家を建てる人はいろいろな呼び方をされますが、その中の2つの言葉、「建て主」と「施主」。建て主は建てる主、施主は施(ほどこ)す主。建てる主は、俺が建てる主だ!という印象を受けませんか。家を建てるときには施す心をもって、信頼関係を築いていくことが大事になるのです。
近隣との良好な関係をつくるには家をつくるときから配慮しておかなければならないことがあります。では、その配慮することとはどのようなことなのでしょうか?
隣地は承諾なしでも使用できる
例えば新しく土地を購入していざ建てようとしたら隣の土地を借りなければ足場を立てることができないということがあります。まだ信頼関係の築けていない段階ですし、もしかしたら隣地所有者は使用を拒否するかもしれません。また以前から隣地の方との関係が良くなく、使用を拒否されてしまう場合もあるでしょう。そんな時はあきらめなければならないのでしょうか?
……いえ、そんなことはありません。
承諾がなくとも隣地所有者に特別な損害を与えない範囲であれば隣地使用を認めることがあります。以前に裁判にまでなってしまった(東京地裁2011年9月26日判決)ことがあり、それは最悪なケースですが、実際にある話です。さらに古家付きの土地を購入し新築しようとしたら、水道管、ガス管、給排水管が隣地に埋設されていたということもあります。建物のほうは問題はないにしても、私道や何らかの事情でどうしても今までと同じように隣地に埋設された配管を使わなければならないときも、隣地に与える損害がもっとも少ない位置、方位であれば認められます。私も、これまで200軒の住宅を設計してきましたが、こういったケースが1軒だけありました。