市場回復が個別企業決算に表れだした太陽光発電銘柄
2013年は太陽光セクターに関するレポートを何本かお伝えしてきました。2013年のビッグテーマになるか!太陽光発電銘柄に注目
2014年以降に急騰!?中国の太陽光発電銘柄
太陽光発電銘柄は2013年のビッグテーマになりうるかもしれないという内容でしたが、2013年11月25日時点の米国、日本、香港に上場している主な太陽光発電銘柄の対指数年初来騰落を見ると以下のようになります。
最新の状況を見ると、もはや太陽光発電銘柄の回復と株価の上昇ぶりは疑いようのないものとなりました。全業種を細かく産業別に区切ると、2013年は「太陽光発電関連銘柄」と「バイオ医薬企業」の2つが最大の当たり年となりました。
そして5月以降の変化を見ると、米国および香港に上場する中国太陽光発電企業の急上昇ぶりが顕著となっています。先行する米国企業を激しく追い上げている銘柄がいくつも見られます。日本株では太陽光発電関連銘柄の乏しい状況ですが、川下におけるソーラーパネルの設置業務を行う銘柄が大きく上昇しました(サニックス(4951)、ウエストホールディングス(1407) )。 これらの中から具体的に、米国に上場している2つの中国太陽光発電企業の最新決算状況を見てみましょう。どちらも業績は黒字となり、サプライズとなりました。
急激な業績回復となり、株価5倍増のジンコソーラー
(米国ニューヨーク上場、証券コード:JKS)
ジンコソーラー(JKS)はいち早く今年第2四半期( 4 ~6月期)に黒字転換を果たした中国ソーラー銘柄でした。それ以前は7四半期連続で赤字決算が続いており、株価も2012年まで大暴落していました。
2013年11月に発表された第3四半期( 7 ~9月期)の売上高は前年同期比+45.1%増にあたる3億2100万米ドル、1株利益は2四半期連続の黒字となる72セントでした。前年同期は39セントの赤字、前年第4四半期には5ドル4セントもの赤字を計上していました。
売上高の回復ペースも急激です。同四半期に同社が出荷したソーラー製品は合計518.9メガワット(うち489.3メガワットはソーラーモジュール、10.9メガワットはシリコンウェハー、18.7メガワットはソーラーセル)の出力量にあたり、これは前年同期より+54.8%の増加でした。粗利益率は22.3%で、4 ~6月期の17.7%、前年同期の5.8%よりも大幅に改善しています。
ようやく事業は危機的状況から「ノーマル化」してきたと見えます。同社は川上の太陽光発電製品を製造するだけでなく、太陽光発電所の運営(売電事業)にも進出しています。株価は年初来で約5倍となっているところです。
残りの出遅れ太陽光発電銘柄が今後どうなるかに注目
次に比較的財務内容の良いトリナソーラー(TSL)をの決算を見てみましょう。トリナソーラーの第3四半期( 7~9月期)は2011年第2四半期以来、久々の黒字転換となりました。また売上高の減少にも歯止めがかかり、過去のピーク時に近いところまで回復してきています。
四半期売上高は前年比+84.0 %増となる5億4800万米ドル(市場予想平均は4億7290万ドル)、1株利益は14セントでした。直前の市場予想平均では14セントの赤字が予想されていました。予想を大きく上回る大きなサプライズ決算となりました。
ソーラーモジュール出荷量は775メガワットの出力に相当し、前年同期に比べて2倍増と大きく伸びました。また2013年第2四半期に比べても+19.8%増となります。通期の出荷見通しも従来2.3~2.4ギガワット(1ギガワット=1000メガワット)としていた所から、2.58~2.62ギガワットへと上方修正しました。粗利益率は15.2%で、第2四半期の11.6%から、また前年同期の0.8%から大きく立ち直っています。
両社の決算は共にサプライズとなり、粗利益率も最終損益を黒字にするに十分なレベルにまで戻っています。いずれも大規模な中国太陽光発電銘柄であり、他のまだ業績や株価の回復が乏しい川上製品メーカーへも波及していくのではないかと推測できる決算内容でした。
もっとも、これらのサプライズを株価は1年近く前より織り込むように急上昇してきました。常に株価の方が業績の半年先を行くということです。一般に業績がピークなのに株価が暴落していれば、半年先に業績も急降下して来るものです。一部のバランスシート内容が危機的な太陽光発電銘柄は未だ株価回復していません。もっとも、サンテックパワーが最近上場廃止となったこともありまだ油断できませんが、残りの出遅れ太陽光発電銘柄が今後どうなるには注目できると思います。
参考:グローバルグロースレポート
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