会えないからこそ、深い信頼感へ
夫とは独身時代、遠距離恋愛だったので、1ヶ月のうち3回くらいしか会えませんでした。最初から遠距離だったので、会えないことの方が普通でした。
そのため、寂しくならないように、お互いの友達や職場の人との人間関係や趣味を充実させることを尊重していました。
だからこそ、お互いの世界が広がったり、深い信頼感へと繋がっていきました。
お互いを信頼していなければできなかった、懐かしい思い出
実は結婚の前の年、二人で共通のペットを飼っていたことがあります。私が当時所属していたテニスサークルのクリスマスプレゼントで、サプライズなのか、ハムスターを1匹もらったことがありました。
時期が真冬で、日中仕事で家を留守にしてる私は困惑しました。
ちょうど、求職活動をしていた東京の彼に冬の間だけ飼ってもらいました。
日中もぬくぬく温かい彼の部屋で、ねず子もリラックス。
彼のハムスターの溺愛ぶりはすごかったです。
そのころ、彼の家の周辺は駅前開発中で、工事のためか、異臭が漂うこともあったそうです。
「110番して調べてもらったよ!そしたら原因がわかったから安心した。だって、ねず子(ハムスターの名前)が死んじゃったら困るからね!」
と報告されたときは驚きました。
仕事が決まると、彼はハムスターを連れて新幹線に乗って旅をしました。
「だって、ねず子を置いていけないからね!」
兵庫の祖母の家に挨拶に行き、数週間過ごすと、次は実家のある熊本にハムスターを連れていきました。
彼の家族は全員、ねず子に会いました。
たぶん、付き合っていた私より、先にねず子は顔合わせをしたのではないか。
そして、熊本の実家で数週間過ごしたあと、無事東京へ、ねず子とともに帰宅しました。
やがて、暖かい春になり彼も再就職。
夜、ねず子は3時間以上もまわし車をカラカラ鳴らして走り回っていて寝不足になるのはマズイということで、静岡に住んでいる私は、ねず子を引き取りに行きました。
その秋に結婚を控え、やっと二人で一緒にねず子との暮らしを築けると思っていた矢先、ねず子は帰らぬ人……ならぬ、ねずみとなりました。
お互いを信頼していなければできなかった、懐かしい思い出です。
ねず子、ありがとう。
日本を旅したハムスター。