マレーシア/マレーシアのグルメ・レストラン

バクテー(肉骨茶)の食べ方とおすすめ店、本格レシピ

漢方スープで豚肉を煮こんだマレーシアの薬膳料理「バクテー(肉骨茶)」。日本人にもファンの多いこの料理、マレーシア南部の街「クラン」辺りが発祥といわれています。料理の特徴や食べ方、マレーシアや日本・東京のバクテーが食べられるおすすめ店、家で作れる本格レシピなどを紹介します!

古川 音

執筆者:古川 音

マレーシアガイド

マレーシアの薬膳料理、バクテー(肉骨茶)ってどんな料理?

大勢で囲む食事、バクテー

マレーシアでは一人で外食することはめったにない。とくにバクテーは大勢で食べるのが一般的

豚肉を漢方スープで煮こんだ料理「バクテー(肉骨茶)」。華人系マレーシア人の間で大変人気の料理です。街を歩いていて、漢方の香りがぷ~んと匂ってくる場所があれば、そこはバクテー店のすぐ近く! バクテー鍋を真ん中に置いた円卓に座り、家族や友人たちと大勢でワイワイ食べている姿を見ることができます。

バクテーの由来はいろいろな説があります。病気の子供に漢方を飲ませたくてお医者さんが考案した、という説。クラン地域に住んでいた労働者のスタミナ料理だった、という説、労働者が肉の骨でとったスープをお茶がわりにして飲んでいた、という説など。とにもかくにも、マレーシアの華人系料理を語る上で忘れてはならない料理、それがバクテーなのです。
 

マレーシアの名物料理、バクテーを味わう食べ方のコツ

バクテーセット

バクテーは必ずごはんとセット。写真の手前右にある唐辛子醤油を豚肉にちょっと付けていただく

バクテーを味わうポイントは3つあります。1つめは、長時間かけて煮込んだ豚肉のやわらかさ。口の中でほどける肉質に心を溶かしましょう。豚の余分な油を取り除くために茹でこぼしをしている店が多く、意外なほどあっさりした味。薬膳独特の漢方臭さもありません。三枚肉、スペアリブ、ホルモン、骨つきモモ肉など、豚肉の様々な部位を楽しめるのも魅力です。

次は、肉の甘みが染み出したスープ。そのままゴク飲みしてもいいし、ご飯にかけてお茶漬け風にしてもおいしいです。アクセントに、唐辛子を漬けこんだ辛み醤油をひと垂らしすれば、あぁたまりません。バクテーは、マレーシアで暮らす日本人の間でも人気で、日本人の舌にも合う味なのです。
 
バクテー店の中国茶

テーブルには茶器が置かれている。熱湯で消毒をしてから使用する

そして3つめは中国茶。バクテーには香り高い中国茶が欠かせません。鉄観音やプーアル茶など、好きな茶葉を選び、テーブルの上に用意された茶器セットを使って、お客さん自らがお茶を淹れます。店内にはお湯の入ったやかんが常設されているので、セルフ式で何杯でもどうぞ。バクテーの旨みと温かな中国茶の相性は抜群。体も心もホッとひと息できること間違いなしです。

ちなみにバクテーは、マレーシアでは朝ごはんによく食べます。漢方効果で精をつけて、1日を元気にスタートさせましょう!
 

バクテーは地域によって味が違う

クランのバクテー

バクテー発祥の地クランにはバクテー専門店が多数。この小皿タイプの店が多いが、土鍋タイプの店もある

バクテーは、クアラルンプールから車で1時間ほどの「クラン」が発祥の土地と言われています。クランでよく見かけるのは、小皿で運ばれてくるセパレートタイプ。「排骨」「大痩」(中国語で豚の部位を指す)のように、豚肉の部位ごとに注文し、それぞれが小皿で提供されます。

それに対してクアラルンプールのバクテーは、クレイポットとよばれる土鍋タイプ。みんなで1つの鍋をシェアし、熱々に煮込まれたスープがたっぷり入っています。野菜は、えのき(当地ではゴールデンマッシュルームとよばれている)、椎茸、レタスなど。ただ、野菜やあくまでも脇役です。

ジョホールバルのバクテーは、クアラルンプールに比べるとスープの色が透明に近いです。これはクアラルンプールやクランのバクテーに入っている黒醤油が入っていないため。スープの味は、白胡椒をたっぷり効かせたパンチのあるスッキリ系で、シンガポールのバクテーもこれに近いタイプ。ちなみに、スープの色で、マレーシアのバクテーを“黒バクテー”、シンガポールのバクテーを“白バクテー”と言ったりもします。
 
揚げパン

スープに浸して食べる揚げパン“油条”

ちなみに、どのタイプのバクテーでも、追加で揚げパン(油条)を注文することをお忘れなく! バクテースープに浸して食べれば、噛むごとにスープがじゅわっと出てきて絶品です。

バクテーは地域性の強い料理で、どこでも食べられるわけではありません。マレー半島では北部よりも南部。クアラルンプール中心地の都会よりも、華人系マレーシア人(とくに福建人)の住む郊外の住宅街のほうがおいしい店が多いです。

また、スープのないドライタイプ、海鮮を使ったシーフード・バクテー、豚肉がNGのマレー系マレーシア人のために鶏肉を使ったチクテー(鶏骨茶)など、バリーションも豊かです。

それでは次に、おすすめの店を紹介しましょう。
 

クランのバクテー店 毛山稿肉骨茶

毛山稿

豚脚。見た目はびっくりだが、ぷるぷるのコラーゲンは全く油っぽくない。しっかりした濃い目の味つけ

毛山稿

早朝から地元のマレーシア人でにぎわっている

三代続くバクテーの専門店。朝7時にオープンし昼2時にはクローズ。好きな部位を頼むセパレートタイプで、おすすめはワイルドな骨付きの「豚脚」や「大痩」。やわらかな豚バラの三枚肉もおいしいです。英語がなかなか通じないので、好きな部位を選びたい場合は、店内で小皿にバクテーを取り分けているイケメン兄ちゃんの近くに行き、食べたい部位を「これ!」と指さししましょう。ちなみに、右隣の店はクアラルンプールにも支店を構える百香(パオシャン)の本店です。

<DATA>
■Retoran Bak Kut Teh Mo Sang Kor / 毛山稿肉骨茶
住所:39-41, Lebuh Bangau, Taman Berkeley, 41150 Klang, Selangor.
営業: 7:00~14:00
電話:+60(19)272-7728
仏教徒のベジタリアンの日は休み
 

クアラルンプールのバクテー店 亜汕肉骨茶

土鍋タイプのバクテー

これがポピュラーな土鍋タイプのバクテー。ぐつぐつ湯気の立つスープをふうふう冷ましながらいただく

獅子舞チーム

この緑の方々は中国正月のお祭りで「獅子舞」を踊っていたグループ。バクテー食べてひと休み

ガイドがマレーシアに住んでいるころ、週1ペースで通った店。クアラルンプール中心地から車で30分ほどのペタリンジャヤという立地にあります。漢方のスープが滋味深くやさしい味わいで、ここにくると必ずスープのおかわりをしてしまいます。ちなみにスープのおかわりは無料です。バクテー、ごはん、お茶のセットで約11リンギ(約350円)。これに揚げパンと茹でレタスを追加でオーダーするのが定番です。

<DATA>
■AH SANG BAK KUT TEH / 亜汕肉骨茶
住所:No.531 Jalan SS9A/12, Seri Setia, Sg. Way 47300 Petaling Jaya
電話:+60(3)7876-2299
営業時間、定休不明
 

日本・東京でマレーシアのバクテーを提供している店

東京では、池袋のマレーチャン2号店、芝公園のペナンレストラン、祖師ヶ谷大蔵の馬来西亜マレー、荻窪の馬来風光美食、十条のA1肉骨茶など。また、豚ではなく鶏を使ったチクテー(鶏骨茶)なら、八丁堀のマレーカンポン、渋谷・横浜のマレーアジアンクイジーンで味わえます。要予約の店も多いので、確認の上、ぜひ食べてみてください!
 

バクテーのレシピ!漢方パックを使って、家で作ってみよう

バクテーには10種近い漢方が必要で、それらが1つのセットになった漢方パックがあります。これさえ手に入れば、自宅で簡単に「バクテー」が作れます。
バクテー

刻んだ唐辛子を醤油につけた辛味タレも作ろう。これを豚肉につけてすこし垂らしながら食べると最高!

■材料(3~4人前)
  • 豚肉 500g
  • (肩ロース、スペアリブ、ホルモンなど)
  • 油揚げ 1枚
  • えのき 1袋
  • にんにく 4~5かけ
調味料:
  • 醤油 大さじ1
  • オイスターソース 大さじ1
  • 甘口醤油(タイのシーユーダムなど) 大さじ1、または砂糖小さじ1~2
  • 塩 小さじ1~2
※味見をして分量を決めてください。スープを飲む料理なので、濃くしすぎないように

■調理手順
  1. 鍋に漢方パックに記載されいてる分量の水(1~2リットル)を入れ、パックとにんにく(丸ごと、皮はむかない)を30分ほどぐつぐつ火にかけて、漢方を煮出す。
  2. 豚肉(肩ロース、スペアリブなど)と厚揚げを入れて、弱火でじっくり1時間ほど煮込む。
  3. 最後に味付け。漢方パックに調味料は入っていないので、自分で味を調える。基本は、オイスターソースと醤油。甘みを足したければ砂糖、味に深みを出したいなら塩を少々加えて。最後に中国醤油(老醤油)を加えるとスープの色が黒くなり、よりマレーシアらしい見た目になる。

クコの実やナツメを加えると、より漢方効果が高まります。また、タレが沁みたにんにくもおいしいので、皮をむいてどうぞ。お酒にもあいますよ。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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