ヨーロッパ

シェンゲン協定のルールが変わりました!改正内容は?

ヨーロッパ旅行を円滑、そして便利にしているのがEUのシェンゲン協定です。去る2013年10月にこのシェンゲン協定のルールが一部改定されました。合わせて、ヨーロッパ旅行とは切っても切り離せないこのシェンゲン協定についておさらいをしてみましょう。

中原 健一郎

執筆者:中原 健一郎

海外旅行ガイド

シェンゲン協定とは何か

堅苦しく言えば、協定加盟国における共通国境管理の漸進的撤廃に関する協定。ということですが、要はこの加盟国間における国境での出入国管理をなくして、人やモノの行き来をもっと自由にしましょう、というEUの協定です。

国際列車に乗ってフリーパスでヨーロッパを旅行(写真はベルギーからドイツへ向かうTHALYS)

国際列車に乗ってフリーパスでヨーロッパを旅行(写真はベルギーからドイツへ向かうTHALYS)

2013年11月現在、ヨーロッパ旅行でドイツからフランスに移動しても、国境で出入国管理がないのはこの協定があるおかげです。旅行者は、最初にシェンゲン協定加盟国へ入る時の入国審査と、最後に加盟国外へ出る時の出国審査のみで、あとは原則自由に域内を行き来することができます。 

1985年にルクセンブルクのシェンゲンという所で署名されたのでこの名が付いていますが、当初フランス、ドイツ、ベネルクス3カ国の5カ国のみであったのが、現在ではヨーロッパの26カ国にまで範囲が広がっています。ヨーロッパ旅行に関するもので、“Schengen countries”なんて言葉が出てきたら、このシェンゲン協定加盟国の事です。

 

旧ソ連のバルト三国もシェンゲン協定加盟国 (写真はラトビアの首都リーガの街並み)

旧ソ連のバルト三国もシェンゲン協定加盟国 (写真はラトビアの首都リーガの街並み)

以前は入ることさえままならなかった東欧や旧ソ連の国々にまで、ドイツやフランスから“国内”の感覚で行ける時代になっています。ヨーロッパ統合は着実に進んでいます。

 

現在の加盟国は

ということで、加盟国を全部列挙してもいいのですが、下の地図をご覧ください。もう、ヨーロッパの大部分といって差支えがありません。但し、キプロス、ブルガリア、ルーマニアの3カ国は、加盟はしていますが未実施の状態で、国境での出入国審査は維持されています。また、2013年7月にEUに加盟したクロアチアも含めて、この4カ国のシェンゲン協定実施は時間の問題といえるでしょう。
今や東欧も含めてヨーロッパの大部分を占めるシェンゲン協定実施国(青色の部分)。この域内の移動に関しては、出入国審査は原則廃止されている

今や東欧も含めてヨーロッパの大部分を占めるシェンゲン協定実施国(青色の部分)。この域内の移動に関しては、出入国審査は原則廃止されている

フランスのニューカレドニアやタヒチ、それからデンマークのグリーンランドなど、海外領土は適用外です。

イギリスとアイルランドに注意

バッキンガム宮殿の衛兵交替。イギリスはシェンゲン協定の枠外

有名なバッキンガム宮殿の衛兵交替。イギリスはシェンゲン協定の枠外

このシェンゲン協定に関して最も注意しなければならないのは、何と言ってもイギリス、そしてアイルランドです。この2カ国、特にイギリスは日本人が観光で大変多く訪れる国ですが、シェンゲン協定に加盟していません。従って、海峡を隔てた隣国のフランスやベルギーから入る時でも、入国審査があります。

とはいっても、「審査がある」というだけのことではありますが……。


次は、今回の変更点について

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