ヨーロッパ

シェンゲン協定のルールが変わりました!改正内容は?(2ページ目)

ヨーロッパ旅行を円滑、そして便利にしているのがEUのシェンゲン協定です。去る2013年10月にこのシェンゲン協定のルールが一部改定されました。合わせて、ヨーロッパ旅行とは切っても切り離せないこのシェンゲン協定についておさらいをしてみましょう。

中原 健一郎

執筆者:中原 健一郎

海外旅行ガイド

今回の変更点

長期旅行者はヨーロッパでの滞在日数に注意

長期旅行者はヨーロッパでの滞在日数に注意

日本を含む一部の国の国民に認められているビザ免除での滞在可能日数は、「半年の間に3ヶ月」です。今回は、この「半年」の計算方法が変わりました。これまでは、

「最初の入国日から6ヶ月のうち最大3ヶ月」というルールでしたが、

「あらゆる180日の期間内で最大90日間」と変わりました。

「あらゆる180日」というのは少し分かりづらいですが、未来の滞在はもちろんカウントできませんので、「過去180日」と読み替えて考えると分かりやすいでしょう。

要は、これまでは最初の入国から半年が経てば、滞在日数の累計が一旦ゼロになったのですが、それがならなくなったということです。

どういうケースが問題になるか

実際のところ、短期の旅行者であればこの改正にひっかかる人はそうは多くはないでしょう。問題になるのは、やはり中・長期での旅行・滞在を計画している人、あるいは既にしている人、そして頻繁にヨーロッパを訪問する人です。

シェンゲン域内入国スタンプ。国名、交通手段、日付などが記されている

シェンゲン域内入国スタンプ。国名、交通手段、日付などが記されている

最も典型的な例を一つ挙げます。1月の1ヶ月間と5月、6月の2ヶ月間をシェンゲン協定国に滞在した場合を考えてみます(その前年の7月~12月の半年間は入国がないものと仮定します)。

8月から再度シェンゲン入りする場合、何ヶ月滞在できるでしょうか?

従来のルールであれば、6月末の時点で、「最初の入国日から6ヶ月」が過ぎています。従ってその時点で滞在日数の累算が一旦終了してゼロに戻り、8月の入国では再度3ヶ月の滞在ができることになります。

 

しかし新ルールでは日数の累積がリセットされることはなく、「あらゆる180日の期間」が対象になりますので、5月と6月の滞在がカウントされてしまいます。つまり、1ヶ月(正確には5月6月の計61日を引いて29日間)の滞在しかできないということになります。
1月、5月、6月にシェンゲン域内に滞在した場合、8月に再入国すると新規則では、1ヶ月弱しか滞在できないことになる

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パスポートは常に携帯が大原則!

警官による街頭でのパスポートチェックは意外と頻繁に行われている

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便利になったヨーロッパ旅行。国境を越えたことすら分からないような感覚になりつつありますが、それは越境にパスポートが必要ではないということではもちろんありません! その時々の情勢によってパスポートコントロールが行われる可能性はゼロではありませんし、一見して外国人とわかる日本人なら、どこで警察の身分証チェックを受けても不思議ではありません。

 

ウィーンから電車で約1時間!スロバキアの首都ブラチスラバ。奥に有名なブラチスラバ城が見える

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オーストリアのウィーンからスロバキアのブラチスラバへ、あるいはフランスのリヨンからスイスのジュネーブへ日帰りで観光に行くというようなことは十分に考えられますが、「パスポートはホテルに置いていこう」なんていうのはもってのほかです。 

どんなに日本語がペラペラでお金持ちでも、十六菊のパスポートがなければ不審者以外の何者でもないことをお忘れなく!
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※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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