鉄道/SL

「SL銀河」と復元作業が進む蒸気機関車C58形239号機

今、JR東日本大宮総合車両センター(埼玉県)で一台の蒸気機関車の復元作業が大詰めを迎えている。JR東日本にとってはD51形498号機、C57形180号機(「SLばんえつ物語」用)、C61形20号機につぐ4両目の蒸気機関車復元となるもので、主として岩手県の釜石線(花巻~釜石)を走行する予定だ。列車名は、沿線ゆかりの宮沢賢治にちなみ「SL銀河」に決定し、着々と準備中である。

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

復元作業が大詰めの蒸気機関車C58形239号機

主台枠の上にボイラー

主台枠の上にボイラーが載せられ、やっと蒸気機関車らしくなった

「SL銀河」を牽引する蒸気機関車は、C58形239号機。1940年に製造され、1972年に引退するまでの大半を岩手県内の国鉄(現、JR東日本)山田線などで活躍した。廃車後は、岩手県営運動公園で大切に静態保存されていたが、保管状態が大変よかったので、今回の復活にあたって当機に白羽の矢がたったものと思われる。

ボイラーがクレーンで吊上げられた

ボイラーがクレーンで吊上げられた

復元作業は2012年12月より大宮総合車両センターで始まった。機関車の胴体とも言うべきボイラーは、大阪にある専門の工場に運ばれ修復作業を行い、部品の一部は新たに製作された。半年以上にわたった慎重な復元作業が終ったボイラーは、再び大宮に戻ってきた。

11月1日には、報道陣が見守る中で、ボイラーがクレーンで吊上げられ、主台枠に載せられた。これで、やっと機関車らしい形ができあがったわけだが、さらに動輪などを組み合せ、運転台や炭水車を繋いで形が完成する。
いよいよボイラーが主台枠の上に載せられる

いよいよボイラーが主台枠の上に載せられる


そのあとは、火を入れて構内試運転を繰り返し、問題がなければ盛岡に戻っていよいよ釜石線での試運転へとこぎつけるわけだ。

このように万全を期して営業運転が始まるのだが、何分にも古い車両なので、予定通りと言うわけにはいかないようである。当初の冬頃運転開始というスケジュールは見直され、今のところ、2014年4月頃のスタートと発表されている。
「SL銀河」走行イメージ図

「SL銀河」走行イメージ図 (画像提供:JR東日本)


C58形蒸気機関車のこと

秩父鉄道で活躍中のC58形363号機

秩父鉄道で活躍中のC58形363号機

なお、C58形蒸気機関車は、中型の旅客・貨物両用の機関車として全国のローカル線を中心に活躍した万能機である。国鉄の蒸気機関車全廃後、京都の梅小路蒸気機関車館で保存された1号機が、SLやまぐち号の予備機として復活したものの数年で引退、363号機は1987年に復元されて、1988年より埼玉県の秩父鉄道で「パレオエクスプレス号」牽引機として活躍中だ。239号機が復活すれば、現状では、C58形としては2両目の動態保存機ということになる。
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