鉄道/SL

「SL銀河」と復元作業が進む蒸気機関車C58形239号機(2ページ目)

今、JR東日本大宮総合車両センター(埼玉県)で一台の蒸気機関車の復元作業が大詰めを迎えている。JR東日本にとってはD51形498号機、C57形180号機(「SLばんえつ物語」用)、C61形20号機につぐ4両目の蒸気機関車復元となるもので、主として岩手県の釜石線(花巻~釜石)を走行する予定だ。列車名は、沿線ゆかりの宮沢賢治にちなみ「SL銀河」に決定し、着々と準備中である。

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

異色の客車は元50系客車

「SLもおか」用の50系客車

「SLもおか」用の50系客車

C58形239号機が牽引する客車には、JR北海道から譲り受けたキハ141系ディーゼルカー4両を改造の上使用する。この車両は、もともと国鉄の50系客車で「レッドトレイン」として地方線区で活躍していたものである。登場が1977年と、国鉄の蒸気機関車全廃後なので、定期列車として50系を蒸気機関車が牽引した実績はなく、復活後のイベント運転で使用され、現在では真岡鉄道の「SLもおか」、JR九州の「SL人吉」の客車として使われているから、SLに牽引されるにあたって、外見上に違和感はない。

キハ141系ディーゼルカー

キハ141形

札沼線で活躍していた時のキハ141形(札幌にて)


キハ141系は、50系客車が余ったので、車両の再利用としてエンジンを付けてディーゼルカーになった変わり種車両だった。おもに活躍していた札幌近郊のJR札沼線(学園都市線)が2012年に電化され、電車に置き換えられたため余剰となり、JR東日本に譲渡されたものだ。「SL銀河」が走る釜石線には急勾配区間があり、C58形1両で客車を牽引するには無理があるので、「奥の手」として客車もどきの動力付きディーゼルカーを使って蒸気機関車をサポートすることになったわけだ。

「SL銀河」用客車の車内

客車サイド

客車のイメージ図 (画像提供:JR東日本)


車内のイメージ図

車内のイメージ図
(画像提供:JR東日本)

客車4両は、銀河鉄道をイメージしてブルーを主体とした斬新な塗装となる見込みだ。車内は、すべて座席車ではなく、フリースペースがかなり設けられる予定である。ラウンジや売店のほか、宮沢賢治関連や沿線観光情報の展示、銀河鉄道にちなんで小型プラネタリウムや天体のミュージアムなど工夫を凝らした車内となりそうで、完成が待ち遠しい。

「SL銀河」について詳しくは、こちら

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