骨・筋肉・関節の病気/捻挫・肉離れ・突き指・脱臼

手指脱臼の症状・原因・治療

手指脱臼は事故、運動、なにげない日常の動作で関節に外力が働いた状態で発生します。原因、症状、診断法、治療法について解説します。

井上 義治

執筆者:井上 義治

形成外科医 / 皮膚・爪・髪の病気ガイド

手指脱臼とは

指の関節は母指の基節骨と末節骨の間のIP関節、母指以外の指の末節骨と中節骨の間のDIP関節、母指以外の指の中節骨と基節骨の間のPIP関節、5本の指の中手骨と基節骨の間のMP関節があります。その14個の関節のどれかが脱臼した状態が指の脱臼です。一般的には「突き指」と呼ばれています。
指の関節

           指の関節。



手指脱臼の症状

脱臼した関節が変形し、関節の可動域が低下します。疼痛、浮腫、出血などを合併します。


手指脱臼の原因

転倒、転落、スポーツ、交通事故などで指の関節に直接、関節に外力が働くと発生します。

手指脱臼の診断

診断は関節の変形を見れば診断が可能ですが、合併する骨折の有無を確認する必要があります。

■単純X線(レントゲン)
脱臼

脱臼したIP関節




単純X線写真は放射線被爆量も少なく、費用もわずか。その場で撮影も終了し当日説明をうけられるので、整形外科では必ず施行します。


手指脱臼の治療法

■徒手整復法(医師が手で脱臼を直す手技)

通常は外来で麻酔なしに施行します。
整復後

整復後のX線像。IP関節が正しい位置にもどっています。


■鎮痛薬
ボルタレン、ロキソニンなど非ステロイド消炎鎮痛薬を使用します。

問題点は長期の服薬で胃腸症状、腎機能低下が高率に発生しますので、急性期を過ぎたら主治医と相談し、減量ないし休薬を考えましょう。

手指脱臼に多い合併症

■指骨骨折
脱臼と骨折が合併することがあります。

脱臼骨折

指のPIP関節の脱臼と中節骨骨折が合併している


多くの脱臼骨折は手術が必要となります。

手術

     脱臼した関節を整復後、骨折を鋼線で固定しました。


■靱帯など軟部組織損傷
単純な脱臼でなく、関節の靱帯などの支持組織が損傷を受けた場合、手術を行い損傷を修復する必要があります。正しい診断が重要です。
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