緊結箇所がポイント
木造軸組工法において、土台や基礎などの端部、又は構造耐力上主要な部分である継手(※1)や仕口(※2)を緊結することは、力を有効に伝達するためにとても重要です。平成7年1月の阪神・淡路大震災における被害調査結果によれば、各接合部の緊結不良が被害要因のひとつとして指摘されています。接合部分で金物のはたす役割についてあまり取り上げられることはありませんが、安心・安全な家づくりにおいてはとても重要なポイントなのです。※1 継手・・・部材を長さ方向に接続する接合部分を継手といいます。部材において継手はもっとも弱点になる部分です。
※2 仕口・・・二つ以上の部材が直角、あるいはある角度をなして結合される場合のその結合部分を仕口といいます。
適合している金物の確認
接合部を効率よく緊結するための手段のひとつに接合金物を使用する方法があります。接合金物はそこにかかる力を有効に伝達するために品質はもちろん、耐力等の性能が明らかで良質なものを選択することです。施主は金物を選ぶということはしません。しかし、現場でどんな金物が使われていて、どんな役割をはたしているのかくらいは現場監督に聞いてみてはいかがでしょうか。ちなみに、一般に一例として(財)日本住宅・木材技術センターが定める適合金物はZマークが表示されています。覚えておきたい重要な二つの金物
建築物は何といっても基礎と土台がきちんと緊結されていることが重要です。基礎と土台をつなぐ金物にはアンカーボルトとホールダウン金物があります。アンカーボルトは耐力壁(※3)に作用する水平荷重(※4)によって生じる水平せん断力(※5)と、耐力壁の端部に生じる浮上がる力のそれぞれに抵抗させる役割があります。アンカーボルトは2階建の場合2.7m以内、3階建の場合2.0m以内に設けることです。ホールダウン金物も地震時などに柱が土台や梁から抜けるのを防ぐ役割をします。※3 耐力壁・・・地震や台風など、横からかかる力を支える壁
※4 水平荷重・・・地震や台風など、横からかかる力
※5 せん断力・・・物体にズレを起こす力
アンカーボルト、ホールダウン金物