各銀行の資本増強策
資本調達額はみずほが5,200億円、三菱UFJが1兆円、三井住友8,600億円。それぞれ発行済み株式総数は20%前後増加しました。また、発行価格はみずほが184円、三菱UFJが428円、三井住友が2,804円でそれぞれ調達しています。現在株価はそれぞれ少し上のところにいますが、増資引き受け先の売り圧力が株価の頭を抑えております。本来、資 本増強策は新たな資金が入り、その資金を事業拡大に伴う設備投資に回すなどして事業規模拡大に役立たせます。しかし、今回 の各銀行の資本増強策は今後の新しい規制に対応させた止むを得ない新株発行の側面が強く、資金をどう使うかが鍵を握りそうです。使い方によっては銀行株の株価の頭を抑えることになってしまうでしょう。今後の規制の動向次第では更なる増強が必要になる可能性もあり、引き続き銀行株を見ていく上でこの話題(新BIS規制やボルカールールなど)は目が離せないといえます。
野村ホールディングスと三菱UFJに注目
さて、冒頭でも言いましたが、金融業界はサブプライムショック以降、ますます締め付けが厳しくなり生き残りをかけた競争となっております。強いものは更に強く、弱い ものは海外業務から撤退するなど勝ち負けがはっきりしてくるでしょう。特に新興諸国における資金需要は今後もいっそう強まっていくこ とが予想されます。銀行貸し出しのみならず、新株発行、社債発行など、仲介業務で金融機関は旺盛な資金需要にこたえていかなければなりません。しかし、このような国際金融業務にはリスクがつきもので経営不安などから来る金融システムへの不安が 再発することは避けなければなりません。そうなると、日本の金融機関で期待できるところは、やはり証券業最大手野村ホールディングスと銀行業最大手三菱東京UFJ銀行となりそうです。野村ホールディングスはリーマンショックの時にリーマン社員などを 受け入れ海外業務は一気に拡充しました。三菱UFJもモルガンスタンレーとの戦略的な提携で今後の海外戦略強化をもくろんでいます。両銘柄はサブプライム後に世界的な金融再編の中で勝ち組になれる可能性が高く、今後の動向に注目したいです。もちろん旺盛な資金需要のある中国における第五位の銀行交通銀行(香港上場)などもお奨めです。