100年の時を経た、赤レンガの駅舎・万世橋

JR神田駅と御茶の水の間に、かつては「万世橋」という駅がありました。1912年(明治45年)に完成し、赤レンガ造りの瀟洒な建物でした。関東大震災で一旦焼失しますが、1925年(大正14年)に再生、その後鉄道博物館が併設され、1943年に駅としての機能は休止します。その後は交通博物館として、子供たちや鉄道ファンに愛されてきましたが、老朽化により2006年に閉館しました。そして、駅の誕生からおよそ100年の時を経た2013年、赤レンガアーチの味わいはそのままに残し、新たな商業施設として「mAAch ecute(マーチエキュート)」がオープンしました。

赤レンガの連続アーチが美しい。写メ撮る人多数

赤レンガの連続アーチが美しい。写メ撮る人多数


万世橋も元々駅でしたが、ここから徒歩5、6分圏内に多くの最寄り駅があります。最先端の電気製品が揃う秋葉原、学生と本の街である御茶の水、老舗の居酒屋や蕎麦屋など粋な飲食店が多い神田、という全く異なる特徴をもつ3つの街に囲まれた、ちょうど真ん中が(元)万世橋駅。どのエリアにも徒歩で行けてしまう、なかなか刺激的な中心地です。今回私は銀座線の神田駅から行ってみました。歩いて2、3分ほど、道もほぼまっすぐなので、迷うことなくたどり着けます。赤いレンガのアーチがたくさん見えてくるので分かりやすい。建物の上には線路があって、電車が今も普通に走っています。電車好きにたまらないロケーション(2階へ上がると真横を走ってる姿が見られます)。神田川沿いのため眺めが良く、古い赤レンガ、電車、川、電気街のギラギラなど、写真に撮りたくなるモチーフがふんだんで、撮影スポットとしても絶好の場所です。

店内の様子。天井もアーチ型です。

店内の様子。天井もアーチ型です。


各アーチの下には個性的でセンスのよいショップが集まっているので一つ一つ覗きたくなりますが(“お洒落ガード下”、と命名したい吸引力)、今回向かうのは長野・上田から東京初進出のhaluta(ハルタ)です。神田から向かうと一番右端の橋のたもと近くの位置です(この橋が元々の駅の名の由来になった万世橋です)。halutaは元々長野では三代続く……と書くとなかなかの老舗の風情に聞こえますが、初代が戦後に食堂を始め、二代目は洋菓子店と喫茶店、そして現在の三代目がベーカリー、カフェ、インテリアを扱うライフスタイルショップ、と各世代でそれぞれの個性や嗜好に応じて自由に変容し、その時代のスタイルにも合わせながら緩やかに続いている、といった雰囲気。現在代表を務める徳武睦裕さんは、東京で物販メーカーに勤めた後、長野に帰って事業を始めましが、今から10年以上も前、当時はお金がなかったからと、築200年の古い家屋(文具屋さんだったらしい)を改装し、のんびりほのぼのした雰囲気とスタイリッシュさが混在した、他にはないオリジナルな空間が完成。その後、地元上田で大人気の店となり、県外からも人が多く訪れるようになったそうです。東京にもありそうでなかった、と都心からお客さんがわざわざ訪ねてくることも。

上を見上げるとこんな感じ。駅の風情が残っています。

店内で上を見上げるとこんな感じ。駅の風情がそのまま残っています。


今でこそ“古民家を改装してお洒落空間”という店がだいぶ増えましたが、徳武さんの場合特に狙った訳ではなく、たまたまだったそうです。今回の万世橋も100年近く経つ古い建築ですが、やはり狙ってはいなくて、物件との出会いはたまたま人のご縁から。内装はどこもいじっていないし、持ってきたものを置いただけ、といいます。「やらなくていいところは何もやらない」という肩肘張らない程よい手の抜き具合が、店の雰囲気をより味わい深いものにしているように思います。

北欧ヴィンテージから日本のクラフトまで、暮らしに必要な道具だけ

さて、店内で販売しているものは、ヴィンテージの北欧家具や生活雑貨、洋服、そして本や食品も少し。古いもの、新しいもの、クラフト、デザインアイテムなどが混在していますが、全体的にすっきりまとまった印象。お店を始めた頃はたくさんの商品を扱っていましたが、次第にアイテムを減らしていったそうです。「生活していて、いらないものは削った」という潔さ。今回オープンした東京店も、長野の店と基本のスタイルは変わらずマイペースでやっていきたい、とのこと。具体的な商品の一部は以下写真でご紹介します。

キッチン用品が集まるコーナー。まさに必要なものが揃っている。松野屋の日本の道具や、北欧ブランドhouse doctorなど。

キッチン用品が集まるコーナー。まさに必要なものが揃っている。松野屋の日本の道具や、北欧ブランドhouse doctorなど。


コーヒー焙煎人オオヤミノル氏のオリジナルコーヒーグッズもあり。

コーヒー焙煎家オオヤミノル氏のオリジナルコーヒーグッズもあり。

長野にて半農半陶の自給自足生活をする作家、小嶋亜創さんの器。

長野にて半農半陶の自給自足生活をする作家、小嶋亜創さんの器。


デンマークのスーパーマーケット「irma(イヤマ)」のグッズも。

デンマークのスーパーマーケット「irma(イヤマ)」のグッズも。


こちらもデンマークブランド「HAY」。組み合せで表情が変わるユニークなプレート。

こちらもデンマークブランド「HAY」。組み合せで表情が変わるユニークなプレート。


ラグやカゴの種類は豊富。サイズも色々ありました。

ラグやカゴの種類は豊富。サイズも色々ありました。


長野に本社を構える出版社の雑誌「スペクテイター」。デザインもきれい。

長野に本社を構える出版社の雑誌「スペクテイター」。デザインもきれい。
 

パンとコーヒーが美味しく、お酒も楽しめるカフェ

店の一角にはカフェもあります。建物のアーチをうまく利用した(というか何も手を加えていないそうですが)、赤いレンガと緑の鉄筋、そしてグレーのコンクリートのコントラストがなんともいい感じにアクセントになっています。日本ではないどこか異国に来たような、不思議な錯覚を覚える景色。メニューは北欧スタイルを意識しており、パンは本店で焼いた自家製、地元の野菜をたっぷり使ったサラダや、濃厚な果物のうまみが味わえるジュースなどもあります(ワインも色々揃っており、お酒に合うおつまみっぽいメニューは気が利いています)。コーヒー豆は京都の焙煎家オオヤミノル氏によるもの。店で使っている家具は販売もしています。

こちらはカフェスペース。天井も当時のままに残している。

こちらはカフェスペース。鉄筋と赤レンガがやっぱり味わい深い。


スモーブロー(デンマーク式オープンサンド)。サラダは地元野菜でボリュームたっぷり!

スモーブロー(デンマーク式オープンサンド)。サラダは地元野菜でボリュームたっぷり!


東京初、長野県外では唯一の店舗。ここから長野・上田をアピールし、情報発信地としても活動できれば、とのこと。この店に来た人が、長野へ行ってみたいなと思うきっかけになってくれれば嬉しい、とも。JRの駅も近いことだし、そのままふらっと電車に乗れば、2時間弱で上田に到着も可能(新幹線あさま利用)。そんなに遠くない!つい長野・上田へうっかり行ってしまいたい気分になる、素敵な店舗であることには間違いないです。

カフェの向こうは電気街!ちょっとシュールな風景が楽しい。

カフェの向こうは電気街!ちょっとシュールな風景が楽しい。


haluta(ハルタ)
東京都千代田区神田須田町1−25−4 マーチエキュート神田万世橋
03-5295-0061
月~土11:00~21:00(L.O20:30)
日・祝11:00~20:00(L.O19:30)
http://www.haluta.jp


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