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国家を創造した二人の天皇の謎とは? 「天智と天武」

中大兄皇子らによる蘇我家滅亡を描いた「天智と天武」。日本の歴史の中では蘇我氏は独裁的な豪族としてとらえ、大化の改新は大悪人の蘇我入鹿を成敗したこととしています。しかし、今作ではそんな歴史に真っ向から挑み、新たな解釈で謎多い古代の歴史が紐解いてゆきます。

投稿記事

大化の改新を新たな解釈で描いた作品

■作品名
天武と天智 

■作者名
中村真理子

■原案監修
岡村昌弘

■連載雑誌
ビックコミック

■ストーリーと概要

物語は飛鳥時代、大化の改新前の皇極4年。

飛鳥の都の学堂で、日本の将来を背負うべき秀才たちが、高句麗、新羅、百済の王子たちと肩を並べて学んでいます。

その中でひときわ眉目秀麗な男が蘇我入鹿。
そしてどこか野心的で目つきの悪い陰険な男が中大兄皇子。

入鹿は中大兄皇子の母で皇位についている皇極天皇との間に不義の子がおり、その子こそ月皇子、のちの大海人皇子でした。

そして、645年、その皇極天皇の御前で、中大兄皇子と百済の王子豊璋らにより、蘇我入鹿が暗殺される乙巳の変が起きます。

入鹿の父・蝦夷も館を包囲され、火を放ち自害して果て、蘇我宗本家は滅亡、月皇子は身を隠します。

時が経ち、朝廷を牛耳る中大兄皇子と豊璋の前に大海人皇子となった月皇子が姿を現します。

大海人皇子に対して悉く辛く当たる中大兄皇子ですが、いつしか大海人皇子をそば近くに置くようになります。

■おすすめの理由
印象的なのは、物語の冒頭シーン。

明治17年、美術研究家アーネスト・フェノロサと岡倉天心は奈良の法隆寺・夢殿の中にある謎の仏像で聖徳太子をモデルにしたとされる「救世観音」を見ようとしました。

その仏像は、白布でぐるぐる巻きにされて1200年以上も封印され、その姿を見ようとすると天変地異が起こるという伝承まで残されていたのです。

そして、ふたりが仏像を調べると、なんとその後頭部に釘が打ち込んでありました……。

日本の歴史の中では蘇我氏は天皇や皇族の殺害も厭わない独裁的な豪族としてとらえ、大化の改新は大悪人の蘇我入鹿を成敗したこととしています。

しかし、この作品ではそんな歴史に真っ向から挑み、蘇我入鹿こそ、成人君主で救世観音のモデルとしているのです。

「天智と天武」では、今後どのような解釈で謎多い古代の歴史が紐解かれてゆくのでしょうか、今後の展開が本当に楽しみです。


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