マンガ・コミック/口コミでおすすめの連載中の青年マンガ

老剣客が魅せる人情と技のキレ 『剣客商売』

池波正太郎の代表作を、大島やすいちの手により漫画化。時は江戸時代、老剣客・秋山小兵衛と息子・秋山大治郎の周囲で、大小さまざまな事件が起き、小兵衛に心服する人々とともに剣の力をもって解決していく作品。心温まるやりとりや、死んでいく弟子などに対する小兵衛の気持ちが繊細に描かれる人間ドラマの要素も色濃くもちます。

投稿記事

稀代の政治家を正しく評価した数少ない作品

■作品名
剣客商売

■作者名
大島やすいち

■原作者名

池波正太郎

■連載雑誌
月刊コミック乱

■ストーリーと概要
「鬼平犯科帳」「仕掛人・藤枝梅安」とならぶ池波正太郎の代表作を、大島やすいちの手により漫画化。2008年より『月刊コミック乱』で連載が続いています。

時は江戸時代後期。主人公は、無外流の達人である老剣客・秋山小兵衛。

小兵衛は、四谷・仲町に道場を構えていましたが、今は道場を閉鎖し、鐘ヶ淵に隠居して、40歳も年の離れたおはる(関屋村の百姓の次女)と再婚し、気ままな生活を送っています。

小兵衛の息子が秋山大治郎。小柄な父と異なる長身で筋骨たくましい剣客で、父の指南により無外流の達人として、こちらも浅草のはずれにささやかな道場を構えます。

大治郎の妻が男装の女剣客・佐々木三冬(老中田沼意次の妾腹)で、大治郎との間に息子・小太郎をもうけています。

この小兵衛と大治郎の周囲で、大小さまざまな事件が起きますが、小兵衛に心服する人々とともに剣の力をもって解決していきます。

■おすすめの理由
小柄な剣客・秋山小兵衛の特徴が良く描かれています。

原作に忠実に小さな身体で、難敵を倒してゆくのですが、「柔よく剛を制す」のではなく、大きな相手を圧倒するほどの剣技の斬れ味が描かれ、達人の振るう剣とはこういうものなのかと実感させられます。

小兵衛と、彼を取り巻く人々の心温まるやりとりや、事件に巻き込まれて死んでいく弟子などに対する小兵衛の気持ちが繊細に描かれる人間ドラマの要素も色濃くもちます。

また、この作品では老中・田沼意次をとても好意的に描いています。歴史の授業では「賄賂で失脚」としか教えられない、稀代の政治家を正しく評価した数少ない作品でもあります。


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