日本人の美歯意識
矯正・審美歯科に対する意識は欧米をお手本に
歯並びがデコボコ、歯が黄色い、金属がキラッと見えてしまう……。これらが平気なのも日本人。欧米人だけでなく、同じアジアの韓国人よりも確実に日本人の方が歯が汚く意識が低い。これはなぜなのでしょうか?
小児矯正のススメ
欧米では輝く白い歯が美人の条件として捉えられているので、子供の頃に矯正治療を行う機会がとても多いです。欧米では矯正しなければならないレベルのデコボコの歯並びであっても日本人はそれほど気にならない。一般的な歯ブラシ以外のデンタルフロスを使ったり、予防のための歯石除去やクリーニングに1度も歯科医院に行ったことがない大人がいたりすることは、欧米人からは信じられない状況です。そういったことが「先進国の中最低の口腔意識」と揶揄されることの原因となっているのでしょう。問題点はたくさんあると思いますが、ここでは2つ注目してみたいと思います。
1つは日本の健康保険制度。もう1つは日本という国のロケーションです。
■ 健康保険制度
日本は生まれたときから亡くなる時まで、何らかの医療保険に加入することになっており、それを国民皆保険制度と言います。医療費はそれぞれの病院が決めるのではなく、厚生労働省が診療報酬という名称の医療費を全国一律に決めています。つまり全国どこの病院でも、検査や治療は同額になります。歯科も医科と同様で健康保険制度の適応を受けており、患者は一定の負担金だけを窓口で支払い、残りは国が負担してくれます。
欧米ではこのような制度のない国も多く、その場合、自分で民間の保険に加入するか実費で支払うしかありません。このため自己負担がとても大きく、虫歯や歯周病にならないようにするために、毎日努力し自己管理を行っているのです。
日本の健康保険制度は、基本的な医療を国民が少ない負担で受けられるようにサポートしているという点では素晴らしいですが、チェックや予防部分のカバーは少なく、起こったトラブルに対応する対処療法が中心であることや、負担金が少ないために自己管理する意識が少ないことは否めません。
虫歯は予防できるものです。フロスや歯間ブラシで細かい部分の清掃をしっかりと行い、自己管理できない部分を定期的に歯科医院でプロフェッショナルケアしてもらえば、問題も早期に発見し簡単な治療で済むことも可能です。少しの努力をすれば健康な歯と歯茎を保つことができるはずなのです。
■ 日本という国のロケーション
日本は島国です。隣国に行く際は、船か飛行機を使わなければなりません。歴史的に鎖国をしていた時期もあるような国でもありますし、広い視野で見れば、「誰もが隣近所の知っている人」なのです。なので、国土も広く、隣国との行き来が多い多民族国家のように、「初対面で自分を好印象に見せるためのスーパースマイル」はある意味不要だったのです。
おもてなしは美しい歯で
日本の美の象徴【富士山】
国際化が進み、2020年に東京五輪という大イベントも決定しました。日本にたくさんの外国からのお客様が足を運び、私たちはその客人をおもてなししなければなりません。
美しい歯が与える印象はどこの国においても重要で、逆に不健康な歯が与える印象というのはとてつもなく大きなマイナスイメージになります。何がきっかけでも構いませんが、待望の東京五輪決定をきっかけにでも歯に対する意識を高めて「日本人は歯が悪い」というイメージを払拭していきたいと思います。