熱き血潮を持つ主人公の数奇な運命
■作品名王道の狗
■作者名
安彦良和
■巻数
全6巻
■おすすめの理由
もしかしたら「安彦良和」さんと聞けば、ほとんどの方が「機動戦士ガンダム」を思い浮かべるかもしれません。
かくいうわたしもその一人で、旦那様にこの漫画を紹介され、絵を拝見した時には、
「え~ガンダムと同じじゃないの~」と、中を見もせずに不遜なことをつぶやいてしまいました。
この「王道の狗」の舞台は宇宙ではなく、明治初期の日本。
しかも「文明開化」は音にきくだけの、蝦夷地から始まります。
主人公は加納周助、熱い血潮の命じるままに、自由民権運動に身を投じ、
その途中で犯した強盗事件の咎で投獄されてしまいます。が、数奇な運命に導かれ、
アイヌの若者のふりをしつつ村の医者に拾われ、金玉均の用心棒としてに雇われ、
さらには明治維新の元勲、勝海舟に雇われ、中国にまで雄飛しまう。
こう書いていくと、偶然ガンダムに遭遇し運転できてしまったことで、一年戦争に巻き込まれ、
果ては「連邦の白い悪魔」なんて呼ばれる存在になるアムロと主人公は似てますね。
まぁそこは「安彦良和」ワールドと言うことで、楽しんでくださいませ。
実際、歴史上有名無名にかかわらず、登場人物はわんさか出てきますし、全6巻の長編ですが。その長さを感じさせず、一度開けば一気に作品世界に引きずり込まれてしまいますので、
手に取られるときは、お休みの日にされた方が良いと思います。
そうそう、トリビアをひとつ。
この王道の狗。実は途中で打ち切りになっています。人気がなかったからではなく、「機動戦士ガンダムORIGIN」を書かないかという話を安彦氏が受け、こちらを描く時間がなくなってしまったんだとか。
相手がガンダムならしようがないかと思いつつも、最終的にはどんな話になる予定だったのかな。また書いてくれないかな。ファンの一人としては、そんな願いをもってしまいます。