アメリカの裁判模様がよく描かれた面白い作品
■作品名オフィス北極星
■作者名
原作:真刈信二、作画:中山昌亮
■巻数
全10巻
■おすすめの理由
日本でも陪審員裁判が進められていますが、まだまだ一般には定着していないような気がします。
そして、わたし個人の意見を言わせていただけば、それが良いか悪いかは別にして確固たる「正義」の概念もなく、譲り合い受け入れ会う精神がまだ生きている日本では、「一般人」が人を裁く裁判はずっと受け入れられないのだろうな、と思います。
■あらすじ
この「オフィス北極星」は、その陪審員制度の本家アメリカで働く、日本人リスクコンサルタントの時田強士、通称ゴーが主人公です。元は日本の有名企業の駐在員でしたが方針があわず辞め、下町にちいさなオフィスを構えます。
名前も実績もないところから始めた事務所ですから、一時を除きいつも経営は綱渡りです。そしてそんな小さなオフィスに持ち込まれる案件は、癖のあるものばかりで、半分は主人公の豪自身が呼び寄せたようなもの。
日本企業に勤めていた頃からの知り合いである、女弁護士バーバラや彼女の知り合いなどに助けられ、依頼人に勝利をつかませるべく奮闘するのですが……。
この漫画を読むと、わたし達日本とアメリカの違いの考え方の違いがよく分かります。特に「正義」に対する考え方が。
わたしはアメリカのテレビドラマが好きで、いわゆる「法廷モノ」と呼ばれる裁判を扱ったシーンもよく見るのですが、この漫画は作者・原作者ともに日本人であるにも関わらず、かの国の裁判の模様がよくかけていると思います。
検察側・弁護側の論告に表情豊かに反応する陪審員と聴衆。素晴らしい証言・証人にはスタンディング・オベーションで報い、それを「悪」と断じれば被告に対して打ちすえるような怒号を、裁判官ですら浴びさせる。あ~「アメリカ」だなぁと感心してしまいます。
運営上の問題もまだまだありそうな陪審員制度ですが、おそらくなくなることはなさそうですから。勉強するためにも、この「オフィス北極星」、一度読んでみませんか。もちろん、それ抜きにしても面白い作品としてお勧めです。