近未来ロボットマンガは今や……
■作品名機動警察パトレイバー
■作者名
ゆうきまさみ
■巻数
全22巻
■おすすめの理由
週刊少年サンデーに88年から94年まで連載されたマンガ。
当時から見た近未来(2000年あたり)が舞台で、土木工事用の巨大ロボットが東京中で稼働している世界。この巨大ロボットを悪用する犯罪を食い止めるため創設された警察組織、特化車両二課の活躍が描かれます。
『機動警察パトレイバー』はOVA、テレビアニメ、劇場版、小説など多ジャンルに展開するメディアミックス作品でした。メディアによって設定に若干違いがあったり、描かれるテーマが違うので、アニメをみたことはあるけれど……という人が読めばびっくりするほど、社会派マンガに仕上がっています。
メインは警備用ロボット、パトレイバーの活躍、と思われそうですが、意外とアクションシーンは抑え気味。人間ドラマがメインです。独立愚連隊、半端もの、と揶揄された特車二課・第2小隊の面々は、謎の黒いレイバーとの格闘をはじめ、秘密裡に開発された巨大生物兵器を退治したり、ストライキの警備をしながら労働者と経営者の埋まらない溝を目の当たりにしたり、自分たちが操るレイバーの賄賂疑惑に落ち込んだり……と社会の荒波にもまれながら、一人前の警察官として成長していきます。
ロボットものはちょっと……と思われる方も警察もの、産業もの、若き隊員の成長の物語、としてお読みください。
現在はこの近未来設定を追い越し、2000年代初めがもはや過去のお話になってしまったのですが、当時はすごくおもしろかったですね。読んでいたのは中学生のころですが、この近未来像がすごくリアルな社会に見えました。今読むのにおすすめ!というわけではないのですが、80年代後半から90年代前半の時代性を映した名作だと思います。