太陽電池には機能にもデザインにも制約が多かった
懐中電灯とかラジオとか、普段はほとんど使わないけれど、いざという時には必ず必要になって、ただ、基本的に電池で動いているから電池が切れていたら使い物にならない、そういう道具は意外に多くて、だから、手回し発電とか太陽電池とかは、これからとても重要になる技術です。エネルギー問題を解決する、といった部分も重要なのは分かりますが、それ以前に、小さな家庭の灯問題を解決するのに、省電力の照明機器と、それを動かすための太陽電池は、高性能になればなるほど助かる技術です。電卓とか、小型のLEDライトなどでは、ほぼ実用の域にある太陽電池ですが、技術としては、まだまだというか、それなりに大きな電力を得ようとすると、太陽光をきっちりと決まった角度で当ててやる必要があって、それは、実際に使ってみると、あまり効率が良くないのです。充電出来る乾電池などを充電したり、スマートフォン用の太陽電池などもありますが、どれも、満足行くだけの充電を行おうとすると、晴れた日に、陽の当たるテラスなどに長時間、置いておく必要があります。しかも、時々方向を変えてやる必要があったり。
京セミが開発した「球状太陽電池 スフェラー」は、その、太陽に対して一定の方向を維持しないと効率良く充電できない、という太陽電池全般の欠点に対して、受光面を球状にする事で、光を受けとる角度を増やし、また、球体なので、従来の平面型よりも光を取り込む面積も広くなっています。このスフェラーをLEDライトに利用したのが、スフェラパワーの「スフェラースティック」です。
太陽電池式でスティックタイプの使いやすさ
懐中電灯は、スティックタイプが使いやすいけれど、太陽電池には面積が必要。多分、そういう事情で太陽電池式の懐中電灯というのは、あまりありません。前に、このガイド記事で紹介した、アークトレーディングの「luminAID(ルミンエイド)」のように、太陽電池式の形状を上手くデザインに取り入れた製品はありますが、細身のスティックタイプは、とても珍しいものです。でも、LEDライトとしては自然な形で、だから、普通に懐中電灯として使えます。透明なアクリル部分に球状の太陽電池スフェラーを並べたデザインは、一見、単なる装飾に見えるくらい自然で、そういうデザインのちょっとお洒落なLEDライトに見えてしまうほどです。このスフェラーの配置も上手いのですが、灯の点灯は、軸を回転させて行うようにして、凹凸を一切なくして、電池部分をよりデザイン的に見せているのも良く出来ています。全体を、「とてもデザインされた製品」に見せる事で、スフェラー部分を自然にデザインに溶け込ませるというアイディアですね。
また、木製のスタンドを付属して、本体を立てて置けるようにしているのも、本体のデザインを見せるという意味と、充電時にスフェラー部分全体に光が当たりやすい状態に置きやすいという意味があります。そういうところまで丁寧に考えられているのが、この製品の魅力だと思います。サイズも、「普段は置いておく」製品として、とてもバランスが良いのです。これなら、窓辺の棚に置いていても不自然ではないし、そこで充電し続ける事も出来ます。この、見える所に置けるデザインである事が、この製品ではとても重要なのです。
ガイド納富の「こだわりチェック」
使ってみて、意外だったのは、その光量です。コンパクトで、しかも太陽電池なので、あまり明るさには期待していなかったのですが、これが相当明るいのです。明るい所で点灯して、十分明るいと感じるくらい明るいのです。この光量はとても頼もしいのですが、一方で、バッテリー満充電で、最大連続約4時間点灯と、非常用としては、ややバッテリーの持ちが悪いのは気になる所です。光量を落として、バッテリーを持たせるモードがあっても良かったかなとも思います。また、晴天時6~8時間の充電で約30分点灯、という充電時間の長さも気になりました。現状、太陽電池はそういうものだと理解はしているのですが、1日6時間も太陽の光が当たり続ける場所は、家のどこにも無いのです。蛍光灯などでは充電出来ないのも、しょうがないとはいえ、残念です。ただ、スフェラーという太陽電池のスタイル自体は、とても可能性を感じますし、技術的な問題は、時間さえあれば解消するものです。とりあえずは、じっくり満充電にしてから、使った分を太陽電池で戻す、といった感じでの利用が現実的でしょう。懐中電灯として使うなら、それで十分実用的だと思います。一晩中点けておくための照明としては、ブックライトや「luminAID(ルミンエイド)」がありますから、適材適所で使い分けたいと思います。
<関連リンク>
・スフェラパワーの「スフェラースティック(シルバー)」はスタイルストアで購入できます。
・「スフェラースティック(グリーン)」はこちら
・「スフェラースティック(ネイビー)」はこちら
・「スフェラースティック(カッパー)」はこちら
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